グッドイヤーのヴィンテージタイヤをキッカケに
旧車&ヴィンテージカスタムシーンが大きく変わった
現在オールステートを取り扱っているのが、大阪にあるブレーカーズ。はじめ僕は、同社が海外からオールステートを輸入し、日本の総代理店として国内のショップに卸しているのかと思っていたのだが、話を聞くとどうも違う……。じつはオールステートは、ブレーカーズが独自で復刻させたもの。本ショップが商標権を獲得し、生産から販売へと結びつけたブランドなのである。今ではオールステートはヴィンテージカスタムや旧車には欠かせないタイヤとして広くユーザーに親しまれており、さらにアメリカやカナダ、オーストラリアへも輸出されている。日本全国で開催されているモーターサイクル カスタムショーへと足を運ぶと、足元をオールステートで固めたさまざまなショーバイクを目撃することも今では珍しくない。
『オールステート』という名称をたどると、戦前のアメリカへとたどり着く。1926年、現在はアメリカの有名百貨店として知られる『シアーズ』にて、カー用品部門として発足したのがこのオールステートで、1993年まで存続していたのだが、現在は保険会社として名を残すのみ。タイヤの生産はおろか、カー&オートバイ用品全般から撤退してしまっている。ブレーカーズが取得した商標権は“タイヤに関するオールステート”で、文字どおり、往年の名ブランドがわが国 日本で復活することとなった。今、『オールステート タイヤ』として国内外に復刻タイヤの販売展開をしている。
旧車に着けるタイヤを探すとなったとき、まずぶつかるのが“選択肢の少なさ”だ。パっと浮かぶところではコッカーやファイヤーストーンという銘柄だが、これらは1960年代に生み出されたスタイルで、ナックルヘッドなど1940年代のバイクにはミスマッチであり、そうしたヴィンテージモデルに履かせられるタイヤはこれまでなかった。
そんな要望に応える形で、復刻オールステート 第一弾として誕生したのが、かつて高い人気を誇ったイーグルタイヤのリバイバル『オールステート デラックス』である。一見すると、当時のスタイルをそのままコピーしたように見えるが、実は走行性能を損なわない仕様とされている。タイヤはバイクを走行させるためにもっとも重要な部品。そこを重視し、現在の交通事情でも十分対応できる安全性能を確保しているのだ。
この『オールステート デラックス』の迫力を生み出している要因のひとつは、サイド面のパターンにあると言えよう。“復刻”という言葉を用いるからには妥協はできぬと、金型の修正を何度も繰り返し、より忠実なスタイルを再現せんと研究に研究を重ねた末に生み出したパターンなのだ。このサイド面に刻印されている「Deluxe」のロゴも見逃せないポイントと言える。サイズは 5.00 – 16 の1サイズのみ。細部までこだわり抜いた、まさにデラックスなタイヤなのだ。
そんなオールステート タイヤの第二弾として登場したのが、『オールステート セーフティトレッド』である。サイズは 3.50 – 19、4.00 – 18、4.50 – 18、さらに 5.00 – 16 も加わり、計4サイズでの展開とされる。『セーフティトレッド』の特徴は、接地面の波線とサイド面のストライプである。1940年代のヴィンテージタイヤを徹底的に研究してきたからこその再現であり、それはサイド面に施されたオールステートの刻印にも表れている。旧車からヴィンテージカスタムまで、幅広い用途に対応できるタイヤだと言える。
「今後、もっともっと面白いタイヤを復刻していきたいと思っています」とは、ブレーカーズ オーナーの弁。各社のヴィンテージタイヤを見てみると、いろんなトレッドパターンがあって個性的だ。そんななかできちんと復刻されたタイヤは、繊細でありながらも力強く、ヴィンテージの魅力を損なうことがない特別なタイヤに位置づけられる。オールステート タイヤは、こだわりをもって選ぶ人の声に必ず応えてくれるクオリティを有している。
タイヤを変えるとバイクの雰囲気は大きく変わる。だからこそ旧車には旧車に似合うタイヤが必要だし、だからといってカチカチのヴィンテージタイヤを履くわけにはいかない。旧車乗りやヴィンテージカスタム好きが頼る最後の切り札として、オールステートのさらなる発展を祈らずにはいられない。
旧車はもちろん、現行モデルにも似合う!
オールステートのスタイリングをチェック
現在オールステートからラインナップされている製品は、セーフティトレッド(3.50 – 19、.00 – 18、4.50 – 18、5.00 – 16)とデラックス(5.00 – 16)の2パターン/5サイズ。ここに紹介する1955 FL パンヘッドはもちろんのこと、シンプルなチョッパースタイル、また現行モデルにだってよく似合う。まさにまさに「お洒落は足もとから」、カスタムの第一歩としても最適なアイテムなのだ。