季節の風や土地の匂いを感じながらノンビリと走る
そんなシーンに欠かせないのがジェットヘルメットだ
ABSや前後連動ブレーキに守られ、スイッチひとつでシートやグリップが暖められるような先進的な装備がつこうとも、2つしかないタイヤで走り続けなければ自立できない“モーターサイクルに乗る”という行為は、人間の感性を頼りにする比率が極めて高く、屋根がありエアコンの効いた四輪車の中では決して味わうことのできない魅力であふれかえっていることをオートバイ乗りなら誰もが知っている。その時々の季節の風や土地の匂いを感じながらノンビリと走る、ハーレーなどのアメリカンやシングルスポーツ系ライダーの多くが愛用しているのがジェットヘルメットだ。
東京都足立区にあるグリーシーキッズは、ジェットヘルメットだけを集めたプロショップだ。オーナーが厳選したブランドのラインナップを豊富に取り揃え、そのなかから手に取り実際に被って、じっくり吟味できるのが同店ならではの魅力である。
自分にジャストフィットする帽体を
じっくり選び抜けるのが醍醐味
お店のドアを開ければ、BUCO、SHM、BumBleBee、AVENGERといった人気のブランドが勢揃いし、所狭しと色鮮やかなジェットヘルメットが店内にディスプレイされている。これだけの品揃えをしている店は珍しく、そしてまた専門店ならではのユーザーの視点に立ったアドバイスが受けられることが頼もしい。カラーリングは実に豊富で、各ブランドからさまざまなヘルメットがリリースされていることは、皆様もご承知のとおりであろうが、実際に手に取り比べると、同じように見えるジェットヘルメットも、ブランドやそのシリーズによってそれぞれ帽体の形状が異なり、シルエットも違うことがよくわかる。当然、被り心地はそれぞれに特徴があるわけで、自分の頭にジャストフィットする帽体をその中からじっくり選び抜けるのが、同店の醍醐味だ。
数あるヘルメットのなかから好みのカラーとデザインを選び出し、被り心地を確かめながら絞り込んでいく。これはなかなかに楽しく、まるでブティックで自分に合った洋服を選んでいるかのような贅沢な気分に浸れる。通信販売で手軽にものが買える時代はであるが、ここではひとつひとつを吟味し、納得のできるものを自分の感触と、プロの目利きを助けに選び抜くという、実に正統な流れのなかで買い物ができるのだ。そんなポリシーのあるプロショップであるから、もちろん通信販売でも全幅の信頼が寄せられている。確かな品質を持つヘルメットや用品が、毎日全国へ向けて発送されており、その誠実なスタンスは、首都圏はもちろん、全国のライダーに支持され、遠方からの来訪も珍しくないというのが頷ける。
そしてまた、ライダーにとってのヘルメットは、大切な頭を守る役割があることはもちろん、着る洋服のように個性をアピールできる重要なアイテムのひとつだ。愛車のカラーやスタイル、ジャケットとのコーディネートが楽しいヘルメットであるが、気分や天気によって変えてみるのも粋でオシャレだ。ウエアやパンツは季節や天候で変えているのに、ヘルメットは年間を通していつも同じ。これでは確かにつまらない。出掛けるとき、洋服や靴を選ぶように、ヘルメットも数種類のなかからその日の気分に合わせて1つを選んで走り出す。そんなオートバイライフ、そろそろ始めてみてはいかがだろうか。
設立者であるジョセフ・ビューガライゼンの名を頭に付け略称した BUCO は、1933年に設立したデトロイトのバイク用品カンパニー。ヘルメット事業に参入したのは50年代後半からだが、65年にジョセフが引退すると BUCO のブランドネームのみを売却。買収した「アメリカン・セーフティ・イクイップメント・コーポレーション」が、70年代後半のオイルショックなどを背景に業績を悪化させ、消滅してしまう。現在は TOYS McCOY のライセンシーとなり、品質とデザインを両立。グリーシーキッズとのコラボ・ヘルメットも好評販売中で、かつての輝きを取り戻している。
個性的なカラーリングとデザインで、絶大なる人気を誇るサンダーボルト(右側の2タイプ)とスマイルブコ。バブルシールドも各色揃い、組み合わせを吟味できる。
日本人の手による、日本人のための美しさを追求した SHM 専用設計の帽体は、被り心地だけではなく、着用時のシルエットにもこだわっている。SHM の特徴のひとつでもあるトリム&ハンドステッチは職人の手仕事によるクオリティと相まって、モデルごとに違った表情を与えている。また、各モデルには鮮やかな塗装が不可欠だが、特にメタル・キャンディ系の仕上がりには定評がある。Old School シリーズの際立つグラフィックの仕上げは熟練した職人が国内で仕上げており、U・S・A シリーズは内装も特別仕立て。彩り鮮やかな内装は、頭頂部にサテン生地を用いたクロスステッチで仕上げられている。
SHMシリーズはレザートリムやハンドステッチなど、US ビンテージの雰囲気をそのままに日本人の頭のカタチにあわせ、最も美しくみえるシェイプに帽体を開発。職人の手仕事が活かされているモデルだ。
デザイナーの志村晶洋氏を中心に展開する日本が生んだ屈指のアメカジブランド「フェローズ」のモーターサイクル専門ブランドが Bumblebee (バンブルビー)だ。“Bumblebee”とはこうるさい蜂「丸花蜂」を意味し、アメリカの俗語で“雑音”“うるさい”という意味がある。それがエンジンの発する音を表現するところとなり、その魅力の虜になった人に向け「いつの時代か、どこかのレーストラックに集まる人々のモータースポーツシーン」をテーマに商品をラインナップ。ハイセンスなだけでなく、リーズナブルな価格を実現している。
手前はマスコットである蜂のマークが大きくプリントされた BBHM-01R。センター部に SS ラインを入れ、ラメをちりばめメタリック調に。カラーの配色も BumBleBee ならではのチョイスで、トロピカルなイメージのオレンジ。
米国ウエストコーストに拠点を置く AVENGER のジェットヘルメットは、フレイクやエアブラシを駆使したペイントなど70年代のヴィンテージデザインを踏襲しつつ、SG規格をクリアするなど現代のニーズに合わせたオールドスクールヘルメット。本場ならではのハードコアな色遣いやデザインは、カスタムフリークを唸らせるもの。内装は脱着可能式としたウォッシャブルで、ヴィンテージヘルメットでは革新的な内容だ。高硬度ナイロン製ストラップ、ゴーグルストライプループなどディテールの作り込みもこだわり抜き、高い質感を持っている。
本場カリフォルニアのカスタムシーンから生まれるフレイクやエアブラシを駆使した見事なペイント。ヴィンテージヘルメットながらウォッシャブル式の内装を備えるなど、現代のニーズに対応している。