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安定電圧でパワーと燃費がアップ?!「GP-1RR」を徹底的に検証する

取材協力:有限会社エイチ・エスシー テスター:佐川健太郎

掲載日:2011年11月16日(火)

簡単で確実な電気系チューニングの決定版

特殊な電子パルスと高性能コンデンサで燃焼効率をアップ

GP-1RR。この小さなブラックボックスにパルス発信装置、コンピュータチップ、特殊保護回路が詰まっている。

GP-1RR。この小さなブラックボックスにパルス発信装置、コンピュータチップ、特殊保護回路が詰まっている。

 

さらに小さなハイパーコンデンサ。積層セラミック構造で半永久的に使用できる。ハーレーの場合、気筒数に合わせて2個必要。

さらに小さなハイパーコンデンサ。積層セラミック構造で半永久的に使用できる。ハーレーの場合、気筒数に合わせて2個必要。

GP-1RRはバッテリー延命装置として開発されたものだった。そしてその起源は昔、NASAで宇宙船のバッテリー用に開発されたものだという。バッテリーは長く使っているうちに電極板の表面に硫酸塩の結晶が付着して次第に性能が低下していく。この現象をサルフェーションと呼ぶが、これを防止するために強いパルス(電気信号)を定期的にバッテリーに送り、結晶を除去することが当初の狙いだった。

 

そして、HSCではパルス発生のメカニズムを研究しさらに開発を進める過程で、パルスがバッテリー性能そのものを向上させることに着目。車載バッテリーは走行中に電圧が変動するが、それを安定させることで常に強いスパークが得られるようになる。これがエンジンの燃焼状態を良好に保つことにつながり、結果的にパワーアップできることが分かったのだ。また、パルスの打ち方(強度や回数)をコントロールすることで、混合気の燃焼促進の効果も得られたという。理想的な燃焼は燃費向上にも貢献するはずである。これらはバッテリー寿命を延ばすという本来の機能の副産物として得られた効果だが、GP-1RRはこのエンジン性能アップという大きなメリットが最大限に活かされるようにチューニングされたアイテムなのである。

 

もうひとつご紹介したいアイテムがハイパーコンデンサ。
コンデンサとは一種の蓄電装置で、瞬間的に電気を貯めて高まった電圧をイグニッションコイルに送り込むことで点火プラグに火花を飛ばす原理になっている。通常のコンデンサはフィルムコンデンサといって紙やアルミを材料としているが、これに対して積層セラミック製のハイパーコンデンサはデバイスとしての通電抵抗が圧倒的に少なく、蓄電ロスを最小限に抑えることでより強力なスパークを可能とする。実はこのアイテム、コンデンサがパンクしやすい旧車オーナーから「壊れないうえにパワーアップに有効」と高く評価されているのだが、今回の測定で良い結果が出ればトランジスタ点火を採用する現行車種にも効果があると判断できる。賛否両論入り乱れるコンデンサによるチューニングだが、実に興味深い測定となりそうだ。

ダイノマシンで実力をチェック

データ上でもパワーとトルクの向上を確認

東京自動車大学校にご協力いただき、最新式ダイノマシンで出力特性と空燃費を測定。4速固定によるスロットル全開特性を分析した。

東京自動車大学校にご協力いただき、最新式ダイノマシンで出力特性と空燃費を測定。4速固定によるスロットル全開特性を分析した。

さて、理屈は分かったが、実際の効果はいかほどのものだろうか…。これを客観的に確かめるために東京自動車大学校協力のもと、ダイノマシンによるデータ測定を行うことにした。


マシンはハーレーのFXSTBを使用し、まずはノーマル状態とGP-1RR装着状態での比較を試みた。パワーグラフで見ると、すべての回転域でGP- 1RRの値がノーマルを上回っていることが分かる。ピークパワーでは約2馬力の違いが表れたが、特に注目したいのは3,500~5,000rpmの日常回転域でのパワー差が大きくなっていることだ。

 

次にハイパーコンデンサを装着してみたが、こちらも明確な違いが表れた。特筆すべきは4,000rpm付近でのパワーの立ち上がりだ。なんと5馬力以上も上乗せされていることが分かる。そして面白いことに、こちらは高回転域にいくほどA/F値が低くなり燃焼が促進されていることがうかがえる。つまり、GP-1RRとハイパーコンデンサは相互補完関係にあるといってもいい。両方装着すれば、低中速から高回転域まで、淀みない加速感が得られそうである。

 

また、A/F(空燃比)も同時に測定したが興味深い結果が出た。計測に立ち会っていただいた酒井先生によると「特に低回転域での差が大きいですね。 FI(フューエルインジェクション)で同じ燃料噴射量であるにも関わらず、A/F値が低く出るのは残存酸素濃度が低いということ。つまり、よく燃えているということです。A/F値で1.0も違うというのは凄いこと。かなりいい燃焼状態であることが予測できますね」とのこと。ノーマルは排ガス規制の影響で、主に低回転域での燃料噴射量を抑えている。そのため、どうしても発進から低速域にかけてのトルク感が薄くなってしまうのだが、そのレンジが持ち上げられていることから、メリハリのある加速感が期待できる。

 

GP-1RRはダイヤルを調整しながら幾つかのセッティングをテスト。最終的にノーマルの51.1馬力に対し53.0馬力までパワーが向上。

GP-1RRはダイヤルを調整しながら幾つかのセッティングをテスト。最終的にノーマルの51.1馬力に対し53.0馬力までパワーが向上。

 

GP-1RR装着状態のトルクカーブ。誤差を考慮して複数回計測したが、何れもほぼ全域でトルクが上乗せされていることが読み取れる。

GP-1RR装着時のトルクカーブ。誤差を考慮して複数回計測したが、何れもほぼ全域でトルクが上乗せされていることが読み取れる。

ハイパーコンデンサ装着時はピークで3馬力以向上し54.3馬力をマーク。日常よく使うミドルゾーンでの大きな差に注目したい。

ハイパーコンデンサ装着時はピークで3馬力以向上し54.3馬力をマーク。日常よく使うミドルゾーンでの大きな差に注目したい。

 

ハイパーコンデンサ装着状態のトルクカーブ。「コンデンサだけで…」と思うかも知れないが、これが真実。トルク増強効果は明らか。

ハイパーコンデンサ装着時のトルクカーブ。「コンデンサだけで…」と思うかも知れないが、これが真実。トルク増強効果は明らか。

実走行によるフィーリング変化は・・・

低中速の加速感が明らかに違う

ハーレーがよりハーレーらしくなる。日常域でその真価を発揮するGP-1RRとハイパーコンデンサは、投資効果の高いパーツと言えそうだ。

ハーレーがよりハーレーらしくなる。日常域でその真価を発揮するGP-1RRとハイパーコンデンサは、投資効果の高いパーツと言えそうだ。

 

パルスの強さと発生回数を調整することで出力特性を変えられる、可変式ダイヤルを装備。細いマイナスドライバーで簡単に操作できる。

パルスの強さと発生回数を調整することで出力特性を変えられる、可変式ダイヤルを装備。細いマイナスドライバーで簡単に操作できる。

数値的な効果が確認できたところで、次は実走行での検証を行うことにした。最初にダイノマシンによる測定でも活躍したハーレーのFXSTBをノーマル状態でテスト。続いてGP-1RRとハイパーコンデンサの両方を同時装着したフルバージョンに試乗してみた。

 

イグニッションキーを回してエンジンに火を入れた瞬間から、まずサウンドが違うと気付く。マフラーをはじめとする排気系には一切手を加えていないのだが、ノーマルより明らかに図太くメリハリのある排気音になっているのだ。おそらく、勢いよく良好に燃焼しているからだと思う。そして、発進しようとクラッチをつなぐと、ノーマルよりも元気よく車体が前に出る。GP-1RRとハイパーコンデンサを装着しない状態では、極低速での線の細さがやや気になるのだが、装着車はアイドリング付近での粘りが増す。結果的に渋滞路などでの扱いが楽になった。

 

スロットルを開けていくと効果はさらに明確で、トルクの盛り上がりとともに加速感が違う。タコメーターが付いていないので正確な回転数は分からないが、おそらく3,000~4,000rpm辺りだろうか。2速で時速40~60km/hぐらいに引っ張り上げるときの、弾けるようなトルク感がなんともいい感じだ。ダイノマシンの計測結果ではミドルゾーンで5馬力以上違うのだから、それも当然。誰もが感じられるレベルで効果が体感できることだろう。予想はしていたものの、データと実走行のフィーリングがぴたりと重なったのだから、その効果は実証されたと言っていいだろう。今回のテストでは燃費までは測定できなかったが、エンジンがパワフルになった分、回さなくても余裕で走れるので燃費も良くなると予想する。GP1-RR本体には出力特性を変化されられる小さなダイヤルが付いているのでセッティングをいろいろと試してみたが、こちらもけっこう変わり映えがする。低中速の使用率が高い街乗りでは「トルク重視」のセッティングが走りやすいし、高速クルーズなどでは「吹け上がり重視」にセットすると回転上昇がスムーズで気持いい。マイナスドライバーが1本あれば、出先でセッティングを変えて走りの違いを楽しむこともできそうだ。

 

発売元はハーレー系スペシャルショップの「HSC」

ハーレーをより楽しむためのオリジナル製品を開発

今回の取材に協力してくれたスタッフの皆さん。右から東京自動車大学校講師の酒井先生、同じく生徒の西山さん、HSC代表の佐々木さん、同じくメカニックの森田さん。

今回の取材に協力してくれたスタッフの皆さん。右から東京自動車大学校講師の酒井先生、同じく生徒の西山さん、HSC代表の佐々木さん、同じくメカニックの森田さん。

 

HSCでは最近、店舗をリニューアルオープン。今回ご紹介した製品は通販もできるが、ショップに行けば実際に試乗してみて性能を納得した上で購入もできる。一度足を運んでみては。

HSCでは最近、店舗をリニューアルオープン。今回ご紹介した製品は通販もできるが、ショップに行けば実際に試乗してみて性能を納得した上で購入もできる。一度足を運んでみては。

ハーレーやビューエルに関するカスタムやチューニングでは定評のあるHSC。まだFIチューンが盛んでなかった時代からいち早くFIや電気系チューン、吸気系チューンの可能性に着目して研究を重ねてきた、知る人ぞ知るショップである。代表の佐々木さんは「HSCではインジェクションモデルのさきがけである 2006年型ダイナが登場したころからインジェクションチューンの研究を重ねています。現在はインジェクションコントローラー、いわゆるフルコンとして有名なツインテックの正規販売店でもあります。卸元であるサンダンス社と協力して更なる研究を続けていますので、パワーアップだけではなく、さらに自分のハーレーを乗りやすく気持ち良くしたい、ハーレーらしい鼓動を刻みたい、というお客様はお気軽にHSCにご相談ください。」と語る。

 

同店では今回テストしたオリジナル製品のほかにも、オイルの流れをスムーズにして油温上昇を抑制、半永久的に使えるステンレス製分解式オイルフィルター「K&Pフィルター」など、多種多様なパーツやアクセサリーをラインナップ。そのノウハウと品揃えは、ハーレーやビューエルはもちろん、その他国内外のブランドにも幅広く対応していることでも有名だ。なお、HSCではショップのリニューアルを記念して下記セット価格での販売も行 うということなので、興味のある方はぜひ問い合わせてみてほしい。投資効果の高いパーツをリーズナブルな価格で入手できる絶好のチャンスだ。

Aセット GP-1RR+ハイパーコンデンサ2個セット:

3万8000円(1900円割引)。

Bセット GP-1RR+K&Pフィルターセット:

2万8000円+各フィルター代金(1400円割引)。

BCセット GP-1RR+ハイパーコンデンサ2個+
K&Pフィルターセット:

3万7000円+各フィルター代金(2900円割引)。

バッテリー電圧を安定化し燃焼効率を向上させることでパワーアップと燃費向上を実現。ポイント式、マグネット式いずれの点火方式にも対応。国産・外車・クルマにもOK。

GP-1RR

バッテリー電圧を安定化し燃焼効率を向上させることでパワーアップと燃費向上を実現。ポイント式、マグネット式いずれの点火方式にも対応。国産・外車・クルマにもOK。

価格:2万9400円

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強力なスパークで確実なトルクアップを実現。半永久的に壊れず、ポイント式、マグネット式いずれの点火方式にも対応。国産・外車・クルマにもOK。

ハイパーコンデンサ

強力なスパークで確実なトルクアップを実現。半永久的に壊れず、ポイント式、マグネット式いずれの点火方式にも対応。国産・外車・クルマにもOK。

価格:5250円

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バッテリー電圧を安定化し燃焼効率を向上させることでパワーアップと燃費向上を実現。ポイント式、マグネット式いずれの点火方式にも対応。国産・外車・クルマにもOK。

K&Pフィルター

汚れたら洗って半永久的に使えるステンレス分解式オイルフィルター。ハーレー、V-ROD、BUELLの各モデルに対応。アルミ地の他、ブラック、クローム有り。

価格:1万6800円~2万1000円

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HSCオリジナル電気系チューニングパーツ LINE UP!

GP-1RR

価格:2万9400円

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ハイパーコンデンサ

価格:5250円

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K&Pフィルター

価格:1万6800円~2万1000円
(ハーレー、V-ROD、BUELL用/ブラック、クローム有り)

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テスター:佐川健太郎

テスター:佐川健太郎

フリーの編集者を経て、2輪専門誌やWEBマガジンで活躍中のモーターサイクルジャーナリスト。ニューモデル試乗や開発者インタビュー、用品テストなど守備範囲は広く、ライディングテクニックやメカニズムにも詳しい。「ライディングアカデミー東京」校長。

 

取材協力:東京自動車大学校

取材協力:東京自動車大学校

一流の自動車整備士の養成を目的に最新の実習車両と整備機器を導入し、進路決定率100%、第一志望内定率82.4%を実現。東京23区内では初めてのボディクラフト科を設置、板金や塗装、カスタマイズなどの知識と技術も学べる。実習車は国内外16メーカー、二輪4メーカー、合計167台を揃えるなど充実した教育環境が魅力。

〒125-0002 東京都葛飾区西亀有3-28-3 TEL:03-3601-2535(代)

 

取材協力:
有限会社エイチ・エスシー

〒410-0873
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