ツーリングファミリー(以下、ツアラー)と言えば、つい最近までは“オヤジのハーレー”というイメージが強かった。しかし、ここ数年でそのイメージは過去のモノとなりつつある。アメリカ本国では以前からツアラーのカスタムが盛んであったが、その波はついに日本にもやってきたのだ。ロードキングや、ストリートグライドなどはカスタムされるのは珍しくなかったが、エレクトラグライドやウルトラでさえカスタムするショップが現れた。従来からあるポリススタイルのドレスアップではない。それぞれの車輌に個性溢れる表現が施されるようになってきている。ツアラーのツアーパックやハードサドルバッグをもカスタムのキャンバスとし、限られた条件の中で、思い思いの趣向が凝らされているのだ。そこで、ここでは最近話題の「バガースタイル」のカスタム車輌を紹介しよう。
派手すぎないのに見るモノの目を奪うトライジャカスタムの真骨頂
従来はカスタムの対象とならなかったツアラーだが、「バガースタイル」のカスタムが近年話題となっている。発表されて間もない2008年式FLHTCUには電子制御スロットル、ABSなど新機構が採用されているが、それはカスタムの妨げにはならない。「サスペンションやブレーキはクオリティの高い純正のままでいい」トライジャ代表 岡本さんはこう語る。機能的にはメーカーが最高のモノを作りあげているため、“魅せるカスタム”に全力を注ぐことができた。“余計なモノを外す”ことが中心のカスタムシーンの中で、サイドバッグを含めたリア周りをどう演出するのか。フロントのフルフェアリングをどう“魅せる”のか。“外す”手法が取れない中で、センスが問われる。「SOL(=太陽)」と名づけられたこの車輌、カスタムペイントも太陽のフレアーをイメージしたグラフィックが採用された。フェアリングやサドルバッグにはLEDが埋め込まれ、タンクパネルには24面カットのガラスを散りばめる。これまでにない新しいカスタム手法が取られたツアラーの登場だ。
ツアラーのカスタムで気をつけるのは熱処理。発熱量が多く、エンジンに風を当てなければいけないので、ノーマルから大きく外れるようなカスタムはしません。この車輌もサスペンションなどはノーマルをそのまま使用していて、カスタムペイントやタンクパネル、リアのフェンダーなどで個性を表現しました。ツアラーのカスタム手法は限られているように思えますが、表現手法はまだまだあります。(TRIJYA 代表 岡本 佳之さん)
バガースタイルのカスタムは存在感が強く、見るモノの目を奪う。
ブラックにまとめる、それだけで締まった印象を受けるこのウルトラ。エンジンにはじまり、フロントフォークやエアクリーナーに至るまでブラックに塗り固められ統一感が感じられる。その中でこそホイールのラインやマフラーエンドのブラスがアクセントとなり、シンプルなカスタムに見えることはない。ウルトラはその巨体だけで迫力があるため、シックなカラーリングの方がなんとも言えない威圧感を纏っているように思える。特筆すべきはリア周り。左右のサドルバッグはサドルバッグエクステンションで縦に長く、ワンオフでトップカバーを製作し、スリムなモノへと変化を遂げた。リアフェンダーもバガースタイルで定番のワイドなモノに変更され、クリアランスは極限まで詰められている。こだわったのはもちろんルックスだけではない。吸気はサンダンス製FCRにハイパーチャージャーで強化され、強烈な走りを見せてくれる。疾走する漆黒のウルトラ…決して派手なカスタムではないが、強烈な印象を残してくれるだろう。
この車輌のオーナーさんはまだ若い方です。それだけに予算の制限もありました。ツアラーは外装の面積が広いため、カスタムペイント1つを取っても他ファミリーよりコストがかかってしまいます。それなら、と言うことでブラックを基調にシックにまとめてみました。ホイールにワンポイントで赤いラインを入れるなど、色のコントラストもポイントです。(Device CUSTOM WORKS 代表 大谷 欽洋さん)
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