雑誌版 Virgin-HARLEY (2011年10月27日発売)巻頭ロケのために、つい先日、最新2012モデルのツーリングファミリーたちで伊豆半島をツーリングしてきました。2012ラインナップの目玉は、ダイナファミリーに新しく登場した「FLD スイッチバック」や V-ROD10周年を記念したアニバーサリーモデルの登場ですが、なんといっても注目すべきはツーリングファミリー全車に、1689ccの排気量を持つツインカム103エンジンが搭載されたことではないでしょうか。
ツインカム103エンジンは、2011モデルからすでに搭載されていたモデルがありましたが、それはウルトラリミテッド、ロードグライドウルトラ、ウルトラクラシックエレクトラグライドの3台だけ。車名が示すとおり“ウルトラ三兄弟”だけの特権であったのですが、ついにストリートグライドやロードグライドカスタム、そしてロードキングにも採用され、その走りはいかがなものかと、ボクは楽しみでなりませんでした。
そしてロケ当日。雑誌媒体への貸し出しはほぼ一番乗りという状態とあって、ピカピカのツーリングファミリーたちがハーレーダビッドソンジャパンの協力のもと用意されたわけですが、やっぱりハーレーダビッドソンの中でもツーリングファミリーは最上級グレードであり、その存在感は別格。自分も20年落ちのエレクトラグライドを所有し、最新モデルの試乗も毎年幾度となくしているものの、登場したての新車たちを目の当たりにしますと、やっぱり胸が高鳴るものです。この高級感、そして堂々たるスタイリングは、誰が何と言おうと“KING OF MOTORCYCLE”なのでございます!
普段からFLHTC(何度も言いますが、20年落ちですけどね)に乗っているボクは、必ずといっていいほどウルトラ系に乗ることになります。この日も池田伸(編集長)がロードキング、次号にも登場してくれる人気モデル・古澤 恵さんがストリートグライドに、そしてボクはウルトラクラシックという配車。通常ならクルマで同行する磯部孝夫カメラマンも、今回はよりリアルな写真を撮影しようとヘルメットを持参。当然、条件がもっとも良いウルトラクラシックの後部座席に座ることになります。
磯部さんを後ろに乗せての伊豆往復。これは素晴らしきツーリング体験となりました。普通のオートバイなら、オッサン2人のタンデムツーリングなんて悲惨な体験にしかならないはずですが、そこはさすがにエンジンを排気量アップしたウルトラ。後ろにオッサンが乗っていようとも楽々発進するし、クルージング性も損なわない。後部座席の磯部さんも勝手にオーディオのボリュームを調整して、ツーリングを満喫している模様です。
そうこうしているうちに、ボクにもストリートグライドやロードキングに乗る順番が回ってきました。軽快感のある2台ですが、そうはいっても重量は400kg近い巨体。軽さとは無縁のオートバイなはずですが、特にロードキングはウルトラから乗り換えるとひとまわり小さく感じ、さらに取り回しもラクなのが不思議。人間っていうのは物事に慣れてしまうのですね。「カワイイ彼女が最近、太ってしまって魅力がない」とお嘆きなアナタも、いちどだけもっとポッシャリしたおデブちゃんと浮気でもすれば、きっとまた彼女の輝きが戻るはずです。
いきなり何を言っているのでしょうかボクは。そんなわけで、ロードキングが軽くて仕方がありません。それはロードキングがフェアリングを脱ぎ捨てたストリップ仕様だからという理由だけでなく、やはりこれもエンジンがよりパワフルになっているから。試しにロードキングでもタンデムをしてみましたが、やっぱり快適。
あぁ、なんて素晴らしいんだツインカム103。道中、ボクは幾度となく呟きました。ツインカム96と乗り比べれば、その違いは明確でしょう。よりパワフルなエンジンを手に入れたことにより、高速巡航性はもちろん、追い越し時の加速力や低速域でのトルクフィールを飛躍的に向上していますし、発進時の加速もさらに鋭くなっています。特に重量級のツーリングファミリーですから、その恩恵は大きく感じます。みなさんも新しくなったツーリングファミリーを、試乗会などでぜひ体験してみてください。
バイク雑誌各誌で執筆活動を続けるフリーランス。車両インプレッションはもちろん、社会ネタ、ユーザー取材、旅モノ、用品……と、幅広いジャンルの記事を手がける。モトクロスレースに現役で参戦し続けるハードな一面を持ちつつも、40年前のOHV ツインや超ド級ビッグクルーザー、さらにはイタリアンスクーターも所有する。