ジャイロ効果と聞くと、地球コマを思い出し懐かしく思う人もいるだろう。ところが、皆さんが普段乗っているハーレーとジャイロ効果は、切っても切れない深い深い関係があるのだ。これは持論だが、そのジャイロ効果が無いとハーレーに乗った気がしないのでないか、とすら思っている。ジャイロ効果について説明していくのはなかなか骨が折れるので、未完ではあるが、自分のブログ 『血と汗と涙のシート製作記』 にて 『ジャイロ効果』 について解説しているので、そちらを参照していただきたい。ハーレーに関わらず、今後もオートバイに乗るようであれば、知っておいても損のない話だと思う。暇なときにでも覗いてみてほしい。
話は変わって、前回の最後でモデルチェンジのことについて触れたと思う。自分がハーレーに関わるようになってから、初めての大きなモデルチェンジが 2004年のスポーツスターだった (1999年の EVO から TC88 への移行もあったのだが、その頃はハーレー用のシートを手掛けていなかった)。2004年のモデルチェンジ後に、即 『素の883』 (後ろに何も付かないスタンダードな 883 )を開発車両として入手した。2004年は、今までと同じスポーツスターの冠こそ付いてはいたが、エンジン・フレーム共に刷新された新しいバイクでもあった (ビューエルの存在についてはここでは触れない)。前年モデルから踏襲されたのは、特徴的なガソリンタンクのフォルムとスポーツスター伝統の4つのカムレイアウト、後はフロントフォークぐらいか?というほどの変わりようだった。
周知の通り、エンジンがラバーマウント化されたのが車体関係の変更点で一番の特徴だろう。個人的には、ピボットレスフレーム (スイングアームをフレームではなくクランクケース後端に接続) になったことで、 『ハーレーも変革 (近代化) し始めているのだな』 と、ある意味一番の変更点として捉えていた。
細部では、ミッションが今までのカセット式ではなくなり、ギアがストレートカットから一部ヘリカルギアに。エンジンの振動を集約するマウント方法を採用し、スイングアームも長くなり、アクセルの開け閉めによる挙動も穏やかでより扱い (乗り) やすいものになった。2004年以降もスポーツスターユーザーが増えていったのは、これらの変更が功を奏した証拠だろう。2003年までのスポーツスターも、車重や車格も手伝って扱いやすい部類 (車種) ではあったのだが、バイクとしては旧態然とした癖が残っており、その扱いやすさも 『ハーレーのなかでは』 という囲いを脱し得なかった。
垂れ角の変化が大きい短いスイングアームと、フレーム直付けのエンジンは、鉄の馬の名にふさわしい荒々しさと、操る際のダイレクト感があり楽しいモデルであった。ただ、乗りこなすには多少ライディングスキルが必要であったのも事実である。古いタイプのバイクを乗り継いできた者や、長いキャリアのある者にとっては“バイクを乗りこなす”というプロセスが喜びでもあったのだが、ハーレー社のエントリーモデルとしての役目で考えると、今までの楽しさを保ちつつ扱いやすさを充実させた 2004年以降のモデルに軍配が上がるだろう。リアタイヤが 130mm ⇒ 150mm になったのも見逃せない。個人的には、883 では使い切れないこの 150mm のタイヤをとても残念に思ったりもした。
と、スポーツスターに乗る身として、つい長々とスポーツスターのモデルチェンジについて熱く (?) 語ってしまった。で、今更だが、前回触れたモデルチェンジとはこの 2004年スポーツスターの話ではないのである。冒頭のジャイロ効果についても関係してくるのだが、思いのほかスポーツスターの話が長くなってしまったので、次回に持ち越しとさせていただく。何だか取り留めのない話で恐縮だが、興味のある方だけでももう少しお付き合いいただければ幸いだ。
何だか仰々しいことになってきたなー。
ハーレーのみでなくBMWや国産車用シートの開発も手掛けるが、自分が乗りたいバイクだけしか開発しないという、メーカーの開発としては痛い人間。愛車は、’97 スポーツスター XL1200Sを筆頭に、’60 トライアンフ TR-6、 ’76 ヤマハXT500、’70 ホンダCB90×2台 割りと雑食。兎に角バイクが好き。最近愛車XT500でモトクロスを始めてみた。