5月になって夏日が続いたある夜、ふと見た天気予報のお姉さんは「今年の夏は、猛暑になるでしょう」と涼しそうな顔で喋っていた。その言葉をきっかけに地図を広げて、旅のシミュレーションをしてみることにした。Tシャツの上に革ジャンを着て快適に走れる気温が理想的だけれども、その季節はとても短い。今ぐらいがちょうどその時期。暑くも寒くもなく長距離を走っても快適この上ない季節。夜はちょっと冷え込んでも冬の寒さを考えたらどうってことはない。
瀬戸内辺りをのんびり走るか、山陰に出て角島にリベンジかけるか。九州もしばらく行っていない。阿蘇にもゆっくり行ってみたいし、最南端の佐多岬もまた訪ねたい場所だ。走れる日数と距離を大まかに見積もって、だいたいの行き先を決める。そして半年ほど使っていなかったキャンプ道具を引っ張り出して、簡単に手入れをする。ついついシェラカップに酒を注いでいたりする。この際だから、キャンプ気分で秋の夜長ならぬ初夏の夜長を楽しんでしまおう。気持ちだけは、すでに西に向かいながら。
ツーリングマガジン アウトライダー など二輪誌を中心に雑誌、広告等で活躍中のカメラマン。愛車は 2010年式 FLTRX ロードグライドカスタム。日本の古典芸能やアメリカインディアン等の文化から多大なる影響を受ける。バイクによる旅の写真や水中写真をライフワークとし、日本やアメリカ、ルート66などの風景を自らバイクで走って撮影するスタイル。「職業=旅人なんて書きたいけど、そこまで旅できていない」という。なぜか誌面に顔を出していること多し。