初めて北海道を走ったのは 19 の時。80年代半ば、バイクブームの真っ只中。バイク乗りは、夏になると鈴鹿8耐か北海道ツーリングに行くモノと決まっていたくらいの時代。早朝に苫小牧に着いたフェリーを降りて、まず目指したのは最北端の宗谷岬。どんなルートを走ったかよく覚えていないが、日本海に出て泳いだ記憶がある。北上を続けて陽が落ちる頃にサロベツ原野。どこまでもまっすぐに伸びる道、本州とは明らかに違う空気感、それまで見たこともないぐらい美しい夕焼け。そこでようやく「今、旅をしているんだ」という実感が湧いた。
それから20代半ばまで毎年、夏になると北海道を走っていた。環境や仕事の変化でいつのまにか北への旅に出なくなる。ハーレーを手に入れた夏とその翌年、仕事ではあったけどダイナで北海道を走った。それから10年。ようやく旅として北の大地を訪れることができた。19の時と同じように最北端を目指す。そしてサロベツ原野。空は今にも泣き出しそうだけれども、オレはヘルメットの中で満面の笑みだったに違いない。
ツーリングマガジン アウトライダー など二輪誌を中心に雑誌、広告等で活躍中のカメラマン。愛車は 2010年式 FLTRX ロードグライドカスタム。日本の古典芸能やアメリカインディアン等の文化から多大なる影響を受ける。バイクによる旅の写真や水中写真をライフワークとし、日本やアメリカ、ルート66などの風景を自らバイクで走って撮影するスタイル。「職業=旅人なんて書きたいけど、そこまで旅できていない」という。なぜか誌面に顔を出していること多し。