こんにちは、パパコーポレーションの佐藤です。オイルの基本的な知識については過去6回のコラムでおおよそ理解いただけましたでしょうか。今回はエンジンオイル(以下、オイル)交換時に一緒に交換する、オイルフィルター(以下、フィルター)のお話をいたしします。一部の小排気量バイクでは使用しない車両もありますが、ハーレーを含めたほとんどのバイクに採用されているのがフィルターです。オイル管理をしっかりとすることも重要ですが、フィルターの管理を怠れば、どれだけオイルに気を遣っても意味がなくなります。それでは、意外なほど重要な役割を果たす、フィルターについてご説明しましょう。
まずはオイルフィルターの役割から。“フィルター(=ろ過装置)”という名がついていることからもお分かりかと思いますが、その役割はオイルに含まれる不純物をろ過し、綺麗なオイルにしてやることです。第一回目のコラムで、オイルの「清浄作用」についてお話しましたが、オイルがせっかくスラッジやガム質を取り込み、エンジン内部をクリーンに保とうとしても、汚れたオイルがそのままエンジン内を循環したのでは、正常な働きが期待できません。汚れたオイルが潤滑などの役割を行うと、逆にパーツに傷をつけてしまう恐れもあります。オイルが循環の際にフィルターを通ることで不純物が除去され、オイルは本来の役割を果たすことができるのです。不純物が多く含まれたオイルは当然ながら劣化が速くなります。そのため、フィルターがなければ、オイル劣化は速く進み、性能が低くなったオイルが循環することで、知らず知らずのうちにエンジンへのダメージは蓄積されていくでしょう。このように、オイルフィルターはエンジンの調子や寿命に対して非常に重要な役割を果たしているのです。
なお、汚れたオイルに含まれる金属粉やスラッジなどからエンジン内部を守るのに、当社のスーパーゾイルのような添加剤は有効です。冒頭で触れた、フィルターのない車両などには最適ですが、ハーレーなどでもフィルターでろ過しきれない汚れがありますから「フィルターでの汚れの除去+スーパーゾイル」でエンジンを守ってはいかがでしょうか?
次にフィルターの交換サイクルについて。走行条件などによりフィルターの汚れ具合には差がありますが、一般的に「オイル交換2回に1回の割合でフィルターを交換」が望ましいとされています。フィルターの交換が必要になるのは、オイルの不純物を取り除く際にフィルターの隙間に汚れが詰まってくるからです。そのため、オイルをどれだけ頻繁に交換していても、フィルターの交換を怠ると汚れは内部に残ったままとなります。しかも、汚れが詰まってきたフィルターはオイル循環時の抵抗ともなります。こうなると、オイルがスムーズに流れなくなり、循環することで行われる「冷却作用」を阻害し、エンジンの熱をうまく逃がすことができなくなる可能性もあるのです。なお、オイルはオイルポンプの力を利用して、エンジン内部を循環しています。フィルターが詰まり、フィルター部分にオイルの流れへの抵抗があったとしても、オイルポンプはオイルを送り出そうとし、これがトラブルの元になることもあるため、注意が必要です。オイルポンプはエンジン内部に収められているため、ここにトラブルが起きてしまうと、修理費用は高額になってしまいます。オイルフィルターは高いものでも数千円で手に入るものです。フィルター交換でトラブルを防ぐことができるなら、安いものでしょう。フィルターがこれほど重要な役割を担っているのはご存知だったでしょうか。オイルと合わせて、定期的な交換を行ってください。
最後に各種フィルターについてのマメ知識を。ハーレー用として販売されているフィルターの種類が最近増えてきています。フィルターのカバー部分のメッキやブラックなどのカラーリングが違うものでも、中身はまったく同じものです。しかし、より高性能なフィルターも販売されはじめました。面白いものとしては、フィルター内部にろ紙だけではなくマグネットが仕込まれており、オイル内部の金属粉を磁力で集めるものがあります。金属部品同士の摩擦で発生した金属粉は、エンジン内部を傷つける要因の1つです。オイルフィルターでのろ過だけでなく、磁力によってそれを集めることができるのは、エンジンに優しいと言えるでしょう。また、つい最近、繰り返し使用できるオイルフィルターも登場しました。フィルターに付着した汚れを掃除してやることで、繰り返し使用できるというものです。エアフィルターにも同様のリサイクルできるものがありますが、オイルフィルターがリサイクルできるのは面白いアイデアですね。
最後に、あまりこれを行う人はいませんが、自動車用のオイルフィルターをバイクに流用することについてお話しましょう。自動車用のフィルターを分解してバイク用のものと比べたことはありませんので、確実な話ではありませんが、私なら自動車用のフィルターをバイク用に流用することはしません。第3回目のコラムで少し触れましたが、近年の車は環境負荷などを考え、低い粘度のオイルが採用されています。そういったオイルを使用する自動車用に開発されたフィルターを、車に比べると硬い粘度のオイルが採用されているハーレーに流用するのはオススメできません。オイルフィルターは重要な役割を果たすことは最初にご説明しましたが、少々の金額差のために自動車用フィルターを使い、無用なトラブルを引き起こしては後悔が募ってしまうでしょう。
パパコーポレーション代表。クルマ・バイク好きが高じて、自らエンジンオイルに対する疑問を解決した金属表面改質剤「スーパー・ゾイル」を生み出す。エンジンを長持ちさせ、環境にも優しい性能を持つSUPER ZOILは、佐藤氏のオイルに対する深い造詣の賜物。