はじめまして、アフリカ旅行・海外バイクツーリング旅行専門会社「道祖神」の菊地と申します。しばらくの間こちらで海外ツーリングについてのコラムを担当させていただくことになりました。どうぞお付き合いください。 さて、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、弊社では多くのバイクツアーを企画してきました。その中にはハーレーやBMWを使用したツアーもあり、参加者の皆様から大変好評です。このページでは数多くのバイクツアーに同行してきた経験から、海外ツーリングのリアルな魅力をお伝えするとともに、とっておきのツーリングコースや観光ポイント、旅のヒントなどをお知らせできればいいなあ、と思っています。日本国内をツーリングするのも楽しいですが、海外にはまた違ったツーリングの楽しさがあります。このページが皆様のよりよい旅の一助となれば嬉しいです。
本題に入る前に、多少手前味噌になりますが、一例としてBMWを使用したヨーロッパツアーの特徴をご説明しておきましょう。弊社では花が咲き乱れるアルプスの一番美しい時期にツアー日程を設定しており、全行程を通してヨーロッパの魅力を満喫していただけるよう配慮しています。車両に関してはドイツ・ミュンヘンのBMW本社にて、ベストコンディションの新機種をご用意。また、日本より同行します添乗員がサポートカーにて全行程同行し、言葉や荷物のお世話、もちろんトラブル対応にも万全の体制で臨みますので、安心して参加することができます。弊社が第1回のヨーロッパツアーを催行したのが1988年のことですから、その歴史は20年。専任スタッフは2名ですが、同行添乗員として走った距離は5万キロ以上になります。その間にドイツ、オーストリー、スイス、イタリア、フランスなど、小さな村や知られざるワインディングルートを数多く開発してきました。
弊社が企画したバイクツアーの基本はフリー走行。参加者のみなさんに詳細な地図をお渡しし、毎朝のミーティング時にルートを確認。出発後は時間を決めて集合、解散を繰り返すというのが弊社のやり方です。これは、安全な走行のためには無理の無い個人のペースを守ることが一番重要、という考えに基づいています。ですから、アウトバーンで200キロオーバーの走行を楽しむ方や、標高2000メートルを超える極上ワインディングを淡々と走る方もいらっしゃいます。美しいヨーロッパのポイントを各々のリズムで安全に楽しむというわけです。もちろん、外すことの出来ない有名観光地も堪能できますし、ツーリングの途中で立ち寄った小さな村のカフェで一息入れる、なんていう洒落たひと時をすごすのも良いでしょう。装備品は雨具だけBMWに付属しているパニアケース入れていただければ、あとの荷物は添乗員の運転するサポートカーが運びますのでご安心を。ホテル到着後は最終日を除きフリータイムですから、ご希望であれば土地の名物料理店やワインバーなどもご案内できます。ライダーしか知らない極上のワインディングコースや、団体旅行では決して行くことのない小さな村の安くて美味い”ガストホフ(レストランを兼ねた宿屋)”もご紹介していきますので、ツアーとは思えないような充実した“旅”を体験できるのです。
このコラムのテーマですが、いろいろと考えた結果、BMWで駆け抜けるヨーロッパ中世の町並み、アルプスのワインディングの魅力を中心にお伝えしていこうと思っています。ヨーロッパでもハーレーは人気ですが、ワインディングが多いツーリングを楽しむにはBMWが最適です。ハーレーとはまた違った楽しさを感じてみてください。ツーリング出発点となるドイツは概ねフラットな土地が続きますが、南ドイツに入るとアルプスに続く美しい山岳地帯が広がっています。ヨーロッパにおけるバイクツーリングの楽しみは、なんといっても抜群の景色と環境、そして魅力的なカーブを描きながら山並みを縫っている山岳ワインディングロードを走ることでしょう。弊社のヨーロッパツアーはBMWが本社を置くババーリア地方の州都ミュンヘンからスタート。もちろん使用するバイクは新車に近い車両をBMW本社から直接レンタルするので、完璧な状態のBMWの走りも堪能するこができます。
現地のバイク事情ですが、日本のように小排気量のスクーターなどはミュンヘン周辺ではほとんど見かけることがありません。大排気量のビッグバイクが主流です。そして、南ドイツの山岳地方に行けば皮のスーツに身を固めた多くのライダーが、それぞれ思い思いのペースでワインディングを楽しんでいます。しかし、そのほとんどは中高年のライダー。日本もそうなりつつあるようですが、ドイツではバイクに乗る若者が少ないのです。それはバイクが大変高価だということと、バイクツーリングは大人の趣味といった社会的な意識が根強いことが要因であるように思います。実際の数はともかく、走っているバイクのメーカーは圧倒的にBMWが多く、その次に我が国のホンダが続くという印象。車種で言うと、いわゆるスーパースポーツやレーサーレプリカなどは案外少なく、ツーリング仕様の大型バイクがほとんどです。アウトバーンを200キロ近いスピードで走っているカップルが、ドライブインでヘルメットを取ったら60歳台の初老夫婦だった、なんていうケースも頻繁に見受けられ、さすが、BMWのお膝元という感じがします。
さて、次回からいよいよ本題に入ります。ドイツのツーリングでは、中世の町が続くロマンチック街道や南の終点、白鳥城(ノイシュバンシュタイン城)で有名なフュッセン、湖水地方とワインディングが広がるガルミッシュ・パルテキンセンなどを走り抜けます。このエリアを走っていると、小さな村々で時折バイクの看板を見かけますが、バイク店ではありません。1階が居酒屋で2階が宿泊施設になっている「ガストホフ」と呼ばれる民宿です。ライダーの利用が多く、それで看板にバイクが描かれているのです。週末にはクラブミーティングなども開かれているようで、我々のツアーもこんな居酒屋で昼食を摂ることも多いことから、よく地元のライダーに話しかけられます。 今回は、旅の出発点であるドイツの雰囲気だけお伝えしましたが、いよいよ次回はツーリング中の模様をお話します。どうぞご期待ください。
神奈川県横浜市生まれの49歳。1980年9月に道祖神に入社し、バイクツアーの企画業務をこなしながら多くの国を訪問している。現在その数は163カ国、通算の滞在日数は5000日に及ぶという旅の達人