「Leviathan(=リヴァイアサン)」。旧約聖書に記された海のモンスターである。口から火を吐き、体は鎧のような鱗で覆われたこの伝説のモンスターの名が、ここに紹介するV-RODに冠されている。
まずはエクステリアに注目したい。独国NLCのエアボックスカバーに灯火類が仕込まれたラジエターカバー/リアフェンダーの得も言われぬ存在感。鱗を模したラジエターホースカバーにサイドカバー、フロントフェンダー、ヒートガードに至るまで、すべてシートメタルにて製作されている。その労力たるや想像を絶する。徹底的に作り込まれた、これらエクステリアのイメージソースは言わずもがな。伝説のモンスターの名に恥じない造形美に息を呑む。
骨格となるフレームはOEM。フロントフォークにはクリーンなSJPを装着。そして見せ場となるのは、世界でも希少なRick’s製シングルスイングアームが大きく主張するリアエンド。同じくRick’s製18"×11.5Jのビレットホイールに300ワイドタイヤを扁平ぎみに装着し、320に近いフォルムを入手。この迫力かつ、シンプルなリアエンドが三次元で形成されたエクステリアをより一層際立たせているのがお分かりいただけるだろうか。
トドメはペイントワーク。複雑に入り組んだエクステリアを彩るDeep Flake Pearl Purple。一見するとブラック、しかし光によってはブルー系のパープル、さらにレインボーフレイクが浮かび上がるというトリッキーな塗料だ。グラフィックは入れず、あえてここはマシンの造形を見せることに徹しながらも「光で遊ぶ」というトライジャの懐の深さを痛感する。
ひとたび走り出せば、ピーキーな水冷Revolutionモーターは意図も容易くレブリミットに達する。シングルスイングアームへの不安は皆無。ただし扁平ぎみのワイドリアタイヤを履いているため、コーナリングは手強い。このモンスターを手なずけるべく、スロットルを絞り込む。