カスタムビルドにはさまざまな方法やパターンがあり、ショップがデモマシンやショーモデルとして作ったもの、オーナーがショップにおまかせで製作を依頼をしたもの、他にはカスタムコンプリートマシンにオーナーの要望をプラスしたものなどもある。もちろん、オーナーがイチからオーダーをすることも少なくないが、その際もどれだけオーダーが具体的か、完成のスタイリングを思い描いているかは、ケースバイケースだと言えるだろう。
今回イエローモーターサイクルが製作したスポーツスターは、まさにオーナーのこだわりが詰まった一台。絵や色など、日本の伝統に関わる仕事をしているというオーナーが愛車に求めたのは、派手な演出ではなく、全体の雰囲気。とくに職業柄、色に関しての感覚は鋭く、このマシンの見どころにもなっている外装とホイールのカラーリングに関しては入念に打ち合わせが重ねられた。
そんなオーナーが目指した雰囲気とは、まさに“古き良き時代のハーレーダビッドソン”。通常であれば、そういう場合は思い描く時代のバイクを参考にするのだが、オーナーが参考にしていたのはバイクの本ではなくその時代のグッズ本。あえてバイクではなく、その時代を取り巻く文化やアイテム、流行を知ることで、自分らしい“当時”を愛車に反映させようというのだ。こうして完成したマシンは、プロのビルダーが舌を巻くほどの感覚の鋭さ、そして個性の表し方によって、他にはない雰囲気を醸し出している。
もちろん、イエローモーターサイクルもそんなオーナーの要望に対して100パーセント以上の満足を引き出すべく、このスポーツスターを組み上げたことは言うまでもない。日本の伝統に精通したオーナーによって作られたアメリカ製のバイク……不思議な魅力を放つ一台である。