スポーツスター 883には、元々ふたつの顔がある。ひとつは、ハーレーのなかでもっとも小さくベーシックなトラディショナルバイクとしての位置づけ。そしてもうひとつは、ダートトラックレーサーであるXRと基本骨格を同じとするスポーツバイクとしての位置付けだ。
XL883Rは、ハーレーのなかで最小排気量ながら、その魅力の大きい運動性とエンジンを使いきれる楽しさにおいて、揺るがない魅力を保ち続けている車種だが、そのXL883Rをベースとして、本来のトラディショナル路線を進化させたカスタムとも言えるのが、このバイクではないだろうか。
XL883Rのノーマルカラーリングは、まさしくダートトラックレーサー譲りのもの。ハーレーのワークスレーサーそのもののカラーリングがRの特徴でもある。しかし、そのイメージを捨ててモノトーンの配色に塗り分けた。つまり元々のベーシック路線にイメージを引き戻し、市街地やツーリングでも映える都会的なカラーリングへと変更することで、ハイセンスなスポーツスターを作り上げることに成功している。
ホイールサイズはノーマルのまま、サンダンス製のトラックテックホイールを使用して軽量化を進め、グレードアップと本来のXRらしいシルエットを両立させている。真横から眺めると、まるで以前のエンジンがリジットマウントだったころのスポーツスターと見間違えるほどの軽快感が際立つシルエットが特徴のカスタムだが、実際の重量もホイール変更などの効果でかなり軽量化されていると思われる。その分、走りも軽快に違いない。