スポーツスターはコンパクトでスリム、しかも価格だってビッグツインに比べ手頃だから、チョッパーベースとして昔から人気のモデルだ。不要なものを削ぎ落とす潔い作りは、軽快な車両をよりシンプルに仕上げ、しかも走りの鋭さも増す。この XL1200N ナイトスターも、そんな流れから生まれている。ノーマルの良さを残しながらチョッパー風に仕上げるのがテーマだったが、その題材としてナイトスターや XL883N アイアンはノーマルですでにローダウンされ、リアフェンダーはすっきりまとまっているため、うってつけである。
とは言え、モディファイを進める上でキャブ時代のように簡単にいかないのが、インジェクションモデルの少々面倒なところ。フューエルタンク、燃料ポンプ、インジェクターとすべてに電気的要素が絡み、しかもフューエルラインには常に圧力がかかる仕組みだから、デザイン上の要となるタンクをどうかしようとするとなにかと手間がかかるのだ。またリアフェンダーはストラットを加工してショベル・ローライダー用を装着。フェンダー上にあったコンピューターユニットの行き場がなくなったため、バッテリーを小型化し、空いたスペースに収めるなど、細かな苦労は多かったようだ。
その甲斐あって、オーナーはこのナイトスターの仕上がりをたいそう喜んだとのこと。手間を惜しまなければ、インジェクション・スポーツスターでも、この手のスタイルを楽しめるのだ。