スポーツスターが様変わりをしたのは、2004年式 年のこと。それまでの華奢な骨格から、太くたくましい新設計フレームとラバーマウント方式を採用したことにより、まるでダイナのような安定性と快適性を獲得した。だが、一方で軽快性とダイレクトなフィーリングは失われ、03 モデル以前の美点として惜しまれることになる。このカスタムは、前モデルの最終型である 2003年式 年式 883 がベースで、軽快さとダイレクトなフィーリングを生かした小気味良い走りを活かすべく、足周りにも手を加えた1台だ。特徴はリアホイールで、ノーマル16 → 18インチとし、オーリンズのリアショックを使い車体姿勢をヨーロピアンスポーツ並みに変更。合わせてフォークスプリングをレーステック製の高バネレート仕様に換え、前後サスのバランスを取っている。そのまとめ方は、いかにもパーツを換えたという派手さがなく、しっくりとまとまり、目に優しい。
また外観はベーシックなルックスにまとめているが、2.25 ガロンのチビタンクに肉厚のダブルシート、そしてダンロップ TT100 のパターンでどこかクラシカルだ。よく見れば、スポークホイールは独特のデザインで、ブキャナン製スポークとサン製リム、ノーマルハブで組み上げられている。このあたりの細部に至る丁寧な作り込みが、この 883 の全体の仕上がりに貢献しているのだろう。
100 周年記念モデルをベースにコツコツと進化を続ける 883 は、見た目こそアニバーサリーモデルの面影がないが、クランクケースには記念の刻印が刻まれている。プレミアム感をあえて目立たせず、自分が感じ取れる部分に残しておく。ここも、オーナーのこだわりなのだろう。