純正から大きくカタチを変え、オーナーの個性を反映したフルカスタムマシンは完成形こそが理想の姿だと言えるだろう。しかし、現実にはオーナーにはそれぞれ予算があり、そのなかでいかにクールなマシンを作り上げるかに苦心するという者も多い。さらにプライベートでカスタムしていくと、カスタム途中であるがためにどうにも中途半端なスタイルで止まってしまっている……というのもよく聞く話である。しかし、実際にはカスタム途中であっても、限られた予算であっても、常に愛車にはクールな姿でいてもらいたいし、ライダーとして中途半端なマシンには跨がりたくないものである。
サンモーターサイクルズが製作したのは、FXSTC ソフテイルカスタムをベースにしたハイテックチョッパーだ。エキゾーストやエアクリーナー、そしてハンドルまわりにシートなどがカスタムされ、よりスタイリッシュなフォルムが形成されており、高いまとまりを見せている。しかし、このマシンももちろんオーナーの予算内で組まれたものであり、ビルダー立岡氏は、そのなかでいかに完成度の高いものを作り上げるかに注力したという。
その結果、バイクの顔とも言えるフューエルタンクはあえて純正のままとして、ペイントで雰囲気を高めることに成功。ホイールは現状では純正だが、今後は前後ともに換装する予定とのことだ。
カスタムは完成したときのバランスはもちろんだが、じつはその行程でも順序立てて組み上げていき、途中過程でも“魅せる”フォルムを維持するかが重要なポイントである。それはやはり素人では難しいことであり、プロならではのセンスが問われる部分だと言えよう。そういう意味では、この一台はまさに完成形。そして、今後パーツがどんどん換えられていったとしても、つねに“完成形”のままであろう。そう、これこそがプロが作るカスタムマシンである。