リアサスペンションを装備していながら、一見するとリジッドフレームに見えるソフテイルフレームはEVOエンジンの時代に登場した。いまでこそハーレーを代表するスタンダードなフレーム形式だが、当時は信頼性が格段に上がったEVOエンジンと相まって、革新的なフレームとして高い評価を獲得したという。
そんなソフテイルフレームが似合うのは、やはりノスタルジックなスタイル。前後16インチにディープフェンダー、ナセルヘッドライトなどの重厚なスタイルはソフテイルの雰囲気をさらに盛り上げてくれるのだが、やはり気になるのが近代的なEVOエンジンだ。もちろん、このエンジン自体は決して悪くはないのだが、「カスタムマシン」としての完成度を高めようとすると、どうしてもそのルックスがスタイリングの邪魔をする感じは否めない。
そこで広島県の45 Degree (45ディグリー)は、S&S製パンヘッドエンジンをこのマシンに搭載。ヴィンテージスタイルを完成させたのである。
当然、ただエンジンを換装しただけではなく、同店ではこのエンジンを一度バラしてリビルド。信頼性が向上したS&Sエンジンではあるが、再度分解することでさらに精度をアップ。現代エンジンのハイパワーとパンヘッドならではの軽やかさをみごとに両立させているのだ。
さらに吸気にはS&S Eキャブをチョイスし、点火を電子制御することで絶妙なセッティングを実現。オールド感あふれるスタイリングながら、現代モデルと変わらぬ実用性はそのままである。
ノスタルジックなソフテイルを正常進化させた最上の一台。じつに丁寧に作り込まれたマシンである。