「パンヘッドやナックルのような歴史に基づく重厚な雰囲気を借りず、当時もののカルトでレアなチョッパープロダクトにも頼らない。その上で時代に色褪せない普遍性と、誰が見ても美しいと素直に思えるカスタム。このマシンはそんなコンセプトで製作しました」
名古屋の JOINTS でお披露目されたご覧の一台は、MOTORCYCLE DEN が久々に出展した EVO ソフテイルのカスタムだった。やはり旧車のイメージは強い同店だが、「らしさ」を表現するのにベースマシンの新旧は問わないことを立証するような、見事なフィニッシュだった。ビルダー松永氏はこう続けた。
「旧車の魅力やヴィンテージパーツの魅力は十二分に知っているつもりだし、トレンドを否定する気もありません。ただうちにきてくれるお客さんの夢を受け止め、どのようにアウトプットするのかを考えた時、どんな形にせよ大切に末永く乗り続けて欲しいという気持ちは常に持っています。ベース車が古くとも新しくてもそれは全く変わりません」
ナックルのボバーと並べても見劣りしないソフテイル。これも製作にあたり松永の頭にあったコンセプトだった。ベース車は1992年式のヘリテイジソフテイル。ストックのイメージは完全に払拭させるが、ハーレーの匂いは残すこと。ある程度具体的なコンセプトが出揃うと、アウトラインはチョッパーではなくボッバーに決定した。骨格とエンジン/ミッション以外は全て取り払い、徹底的に吟味したパーツで再構築された。
「旧車にはハマらない、EVO だからこそマッチするパーツ。前後のビレットホイールなんかはその典型です。リーフスプリングフォークも違和感なくハマったと思う」
DEN のカスタムバイクは総じて10年後が楽しみだ。