オープンから20年を超える大分の老舗ショップ「フリーウェイ」製作の一台。一般的なメンテやカスタムに加え、ボーリングやヘッド加工といった内燃機までも自社で一貫して行う、日本では数少ない実力派のショップ。代表の水谷研一さんがこのマシンに掲げたコンセプトは「60年代後半のカスタムショップが、ハイテクを意識したバイク」だ。
サンティのリジッドにパウコのスプリンガーからなる端整なマシンバランスで、シンプル極まりないナローな作りになっている。またシルバーとクロームのトーンバランスに、アクセントとなるゴールドのブラス群。そして試乗で感じた節度ある操作性と、すべてに完成度の高さを感じる。どの角度から見ても奇をてらったものは存在しない、至ってスタンダードなマシン。しかし、徹底して造り込まれたディテールがすべてを物語っている。
「当たり前のことを、確実に、そしてシンプルにやっただけ」と話す水谷さん。彼にとって至極当然ともいうべき答えの裏にあるのは、長きに渡って蓄積された経験と理論からなる揺ぎない自信に他ならない。奇抜なマシンの対極といえるシンプルなこのチョッパーは、ヤワなことでは決してヘシ折れない、カスタムビルドに対するビルダーのプライドと強い信念を、静かに、そして強く主張する。