ビンテージギターをイメージソースに、しっとりと落ち着いたキャンディーグリーンに彩られた’64FLH。ナロースプリンガーをセットした、フロント21インチ、リア16インチのホイールからなるスタンダードなフォルムには、大人の色気を漂わせている。
ドラッグレーサー風にシート下からアンダーフレームにつながるサポートパイプ、そしてリアタイヤとリアフェンダーのクリアランスに象徴される各パーツのディメンション。配線処理はタイラップを使わず、ステン製クランプでまとめている。「分かりにくい箇所に手間をかけるのがクセ」と、代表の久保順平さんは笑う。
組んで間もないというマシンに乗り、街へと走り出す。エンジンはストックながらEキャブをセットしたモーターから弾けるかのような加速フィールが味わえる。リアにはPM4ポットを2連で装着しており、安心の制動力を確保。「旧車でも問題なく日常の足に使えるチョッパー」をモットーにする久保は、ハイパフォーマンスパーツを要所にセットする。
現代の交通事情において、旧車でも「走る・曲がる・止まる」を絶対条件に、新旧パーツをバランスよく組み合わせているMCフォース。丁寧な作り込みに加えて、バイク本来のスポーツ性を損なわないように調整されているこのマシンには、久保さんのビルダーとしてのスタンスが息づいている。