セルモーターが備わった1971年式 XLHがアメリカからやってきたとき、フルノーマルではなくライトなチョッパーにカスタムされていた。ただ、オーナーからの要望でフルカスタムすることは確定しており、その元気なエンジンをそのままに、東京・八王子のカスタムショップ ブラッククロームのビルダー 松本 悌一氏が全面的にプロデュース、大幅なカスタムを敢行した。
「走る・曲がる・止まる」というモーターサイクルとしての基本的な要素をベースに、小柄なオーナーに合わせた“走って楽しいリジッドアイアン”がテーマ。フレームはノーマルのKフレームをベースに、パイプを曲げて作り上げたオリジナルのループ型ボルトオン ハードテイルを装着。「昔のダートレーサーに見られるタイプ。これならば、チョッパースタイルでも十分走りを楽しめます。これをぜひ取り入れたかった」(松本氏)と、本モデルを語るうえで欠かせない土台である。
そして全体のシルエットは極力コンパクトにされている。またがってみると分かるのだが、170センチ台の人にはやや窮屈とも思えるポジションになっている。ひとえに小柄なオーナーのための仕様で、ホイールベースはもちろん、オイルタンクを後ろ寄りにマウントし、フューエルタンクもやや後方に装着。全体的にギュッと絞られたシルエットにまとめられている。
「“HOT & HARD”というキーワードがぴったりな一台。小さいけど、じゃじゃ馬な走り出しがすごく楽しいんですよ」
と松本氏から笑顔がこぼれる。まさしく1970年代のダートレーサーを思わせるブラッククローム流チョッパースタイルの代表格と言っていいスタイルである。