カテゴライズされない
独自のスタイルを与えた
愛知県豊田市の irons が JOINTS CUSTOMBIKE SHOW 2011年式 にエントリーさせた一台。無骨なフィニッシュながら、「○○風」というカテゴリー不要の独特なスタイルが与えられている。ベースは1976年式のコーンショベル。骨格の4速フレームには基本的に手が入っておらず、しかしストックとは比較にならないほどコンパクトだ。ビルダー村里大吾曰く、「純正4速フレームを使用した個性あるカスタム。それがコンセプトだった」。
ワンメイクの鉄製リジッドバーとラウンドタイプのスイングアームに換装されたリアエンドでワイルドにスラムド。シンプルなリア周りとコーディネートすべく、フロントエンドはスプリングフォークを選択。アウトラインの要となるシャシーの方向性が決まり、残すところは外装パーツの製作。が、シートメタルを特に得意とするビルダーは、こう言う。
「外装は一筋縄ではいかなかった。フレームに手を入れず、でもストックにはないカラーを出す。となれば差別化する要素は外装とディテイルのみ。勝負はそこだけだったから」
試行錯誤の末に。「……これが今、自分が持ちうる技術のすべてだった」という渾身のディテイルは、ご覧のとおり。ちなみにタンクは3回作り直された模様。
ショーティーが付くコーンショベルは数回のキックで火が入り、安定したアイドルを奏でた。クラッチペダルを踏み込みジョッキーノブでファーストギアへ。スロットルを開けクラッチをミートすると、力強いサウンドとともに加速。ハードな乗り味。が、軽量コンパクトに変貌したショベルはキビキビとよく走った。構えることなく気軽に乗れて走って楽しい。ショベルヘッドならではの楽しさ、そしてカスタムの可能性を再認識させてくれた一台だった。
カスタムの詳細をチェック!
渾身のフューエルタンク。変則マスタング、と称すれば遠からずか。「スタイルと容量のせめぎ合いだった」とは製作者。塗装 /ラインもビルダー作。
ルックスの要となるシートカウル。オールドレーサーがコンセプトだ。乗り心地は至って良好。真鍮プレートもポイント。レタリングはセンタールーツ作。
スプリンガーのトップブリッジにライザーを介して装着されたワンメイクのハンドルは、ライザー幅ギリギリで立ち上がりタイトなポジションを形成する。
布撒きテープを幾重にも巻いたグリップ。バーエンドの真鍮アクセサリーはマシニング加工の一点モノで個性的な形状はタンクキャップなども共通。
リアエンドのレフトサイドにマウントされたナンバーホルダーの裏面。このデッドスペースに薄いボックスを作成し、内部に ETCボディを仕込んでいる。
キャブレターは S&S のショーティーを選択。スパイラル形状のエアクリーナーカバーは、その実米国ホームセンターのガーデンアクセサリーが流用される。
純正採用されたリアブレーキのマスターシリンダー。元来が古めかしいキャステングパーツゆえ、無骨な装いのカスタムにもしっくりと馴染んでいる。
製作者曰く、「フットボードは絶対やりたかったディテイル。削り出しのボードに真鍮プレートを埋め込んだ。IRONSのロゴはレーザー彫りです」。
元来ドラムブレーキを採用したスプリングフォークだが、より制動力の高いディスクブレーキを選択。リアブレーキは純正の油圧ドラム式である。
グラフィックの刻まれたアルミ製のポイントカバーも削り出しによるワンメイク。コーンショベル元来の無骨なルックスに、さりげなく個性を添える。
「この形状以外考えられない!」というほど熟考されたマフラーは往年のレーサーを彷彿させるディテイル。ジョイント部の真鍮アクセサリーもポイント。
鉄を削り出したリジッドバーをフレームに繋ぐボルトにも真鍮アクセサリーが。黒染めによるマット色使いと金のコントラストも製作者のこだわりだ。
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