「1960年代後半から1970年代にかけて、ローカルショーにエントリーしたチョッパー。それがコンセプトですが、そこからもう一歩踏み込んでいる……それから40年後の今日、そのチョッパーのオーナーの息子が成長して、ある日彼はガレージの奥でホコリまみれになったチョッパーを目の当たりにする。長い年月を経て再びガレージから引っ張り出されたカスタムバイク。もちろんその息子は、親父の自慢だったそのチョッパーを乗り継いだ……。これが製作前にイメージしたストーリーです」
新進気鋭のカスタムショップとして注目されるホグホリックのビルダー横溝学。昨年のホットロッドショーに出展したこのパンヘッドを前に、マシンのコンセプトと、そのボトムラインを形成したという架空のストーリーを話してくれた。時代背景を徹底的に検証するだけでなく、己の描くイメージを忠実に具現化するため、時間のみが成し得る「経年劣化」をもカスタムと捉え、それを遂行するマニアックスだ。
チョッパー黄金期、大小問わずさまざまなショップから個性溢れるカスタムパーツが星の数ほどリリースされた。それらの一部は、もはやレアを通り越しカルトと評すべき存在になりプレミアム価格で取り引きされるが、横溝氏はジャンクとしか認識されなかった時代から、それらをコツコツと収集してきた。ストックスタイルのナックルやパンに乗るオーナーが当時の純正パーツにこだわるように、彼は1950~1970年代にかけて製作されたアフターパーツにロマンを見出し、情熱を注いできたのである。
かの時代の古ぼけたチョッパーマグ。モノクロ写真や片隅のパーツ広告から、どれほどのイメージを紡ぎ出すことができるのか。
Imagination
優れたカスタムビルダーには、不可欠なエレメントだ。