ハーレーをはじめトライアンフやインディアンにも対応し、東京近郊のチョッパー乗りが夜な夜な集まり活気を見せるカスタムショップ、スパイスモーターサイクルズ。このマシンは、1970年代のアウトローMCが乗るチョッパーというオーダーを受け製作したものだ。骨格となるフレームは、元々付いていた陸王フレームをベースにモディファイ。そして前後21/15インチのホイールに70年代のディアドロップタンク、50年代のトライアンフ用フォークが装着される。
しかし、このマシン最大の特徴は、ストックのSVモーターにトライアンフTR6のミッションを搭載した点だ。代表の濱本壮氏曰く、「WLのミッションは3速しかないため、走りがどうしても引っ張りがちになること」。そこで店にあったトライアンフの4速ミッションに乗せ換える案が浮上したわけだ。
「ハーレーにトラのミッションの組み合わせは、僕の知る限り日本初だと思う」
ハーレーの場合、ミッション位置の調整はアンダーブラケットでのスライド式。一方トライアンフは上下のスタッドボルトで支持される。結果、利便性を考えた上でトラ方式のマウントを選択。まったく勝手の違うミッションゆえ、機能することを確認するまで幾度もマウント位置の調整がされた。
しかし、それだけでは対応できず1次駆動のフロントプーリーを専門業者へ特注。2次駆動が右ドライブのWLを、トラ仕様の左ドライブへと移行して完成したミッションのタッチは、苦労の甲斐あって自然なものだと濱本氏は言う。実際試乗してみたが、確かにシフトの入りはスムーズだ。また、3速から4速ミッションとなったことにより、2速で引っ張る必要もなく、走りに余裕も生まれている。
スパイスのショップカラーが全面に現れたチョッパーには、ビルダーの知られざる挑戦と苦労が隠されていた。