現在の日本国内でのハーレー人気は、スポーツスターとツーリングの2ファミリーに集中している。誰でも乗れるコンパクトなモデルと、象徴的に大きく存在感あるモデルという両極に分かれている状態だが、そんな中、ダイナやソフテイルといったラインナップの中核を占めるファミリーは、新車の登録台数では劣るものの、カスタムではいまだに強い輝きを放つモデルが多く登場する。それは、乗り手や作り手の意思が車両へ明確に反映されているからで、考えに1本筋の通ったものが多いからだろう。
ハーレーダビッドソン幕張で手がけたこの FXDL ダイナ ローライダーも、見れば見るほど「なるほど」と思える内容にまとまっていた。ご覧のとおりかなり派手な外観で、ハンドルやメーターにまで及ぶ鮮烈なパールレッドのペイントに目が奪われがちだが、前後足周りに吸気やコンピューターと走行性能に関わる部分のほとんどに手が入り、しかもそれらはあまり目立たず見た目は黒子に徹している。ダイナはビッグツインの中でも走行性能の高いモデルだが、このローライダーはその根本部分をブラッシュアップし、活発に走れる内容に仕上げている。注目したいのはサスペンションで、フォークはスプリングを SUNDANCE の TRAK TEK に、リアショックはオーリンズへ交換。ローライダーの生命線であるローダウンを崩さずに、サスストロークの少ない状況の中で、如何にサスペンションを動かし安心できる車体の動きを実現できるか、考慮した結果だ。
あえて目立たせていないが、派手な外観の裏には鍛え上げられた走行性能を同居させている。オーナーの美意識を感じる作り方である。
リアショックはオーリンズの type S36E 。プリロード調整可、減衰調整はなし。
リアショックはオーリンズの type S36E 。プリロード調整可、減衰調整はなし。
リアショックはオーリンズの type S36E 。プリロード調整可、減衰調整はなし。