ハーレーのプロが指南する是非ものチェックポイント
ドライブベルトとスプロケットは
意外な要注意ポイントだ
一般的に、ベルトドライブのメリットとして変速時のショックや走行時の静粛性、メンテナンスが容易なことが挙げられる。スポーツスターも同様で、点検項目に明確な交換時期は示されていないが、実際には想像以上に走行距離の少ない車両でも、突然切断してしまうこともあるという。急発進や急加速が悪影響を与えるのは確実だが、スプロケットとベルトの間に砂利や小石が挟まって耐久性を低下させることもある。純正ドライブベルトは1本4万円以上と高価なので(工賃別)、そうしたトラブルを防ぐためにも、純正のベルトカバーは外さないようにしたい。また、ドライブスプロケットのセンターナットの緩みも、意外な要注意ポイントである。
ベルトテンションゲージで張り具合を調整したら、アクスルシャフト位置を合わせる。これは左右のスイングアーム側面にある穴からアクスルシャフト中心までの距離を、左右同一に合わせる。そのためのツールは溶接棒や園芸用支柱などで自作すればよい。
ドライブベルトを外したら、表面の歯に亀裂や破損がないかを確認しよう。この時、反対側に反らせたり、強く屈曲させてはいけない。
クラッチミートから遅れて駆動力が伝わったり、ギアを入れて後輪を浮かせて回した時にガタが多い時はドライブスプロケを確認。
スプロケットナットはこのロックプレートで回り止めが施されるが、ナットが緩んで角が丸くなっているものがある。
専用工具のスプロケットロッキングツールで回り止めをして、ソケットをはめる。このソケットは二面幅50mm以上の大サイズ。
スプロケットナットは逆ネジ(左ネジ)なので、着脱の際に注意する。本来なら、一発目は全体重を乗せないと緩まないもの。
もし軽い手応えで緩み始めたら、締め付けトルク不足かも知れない。するとスプロケットのスプライン溝が崩れてガタが出る。
この車両は大丈夫だが、ナットが緩んでガタが出ると、溝に段が付く。これがクラッチミート時のギクシャク感につながる。
スプラインのダメージがスプロケット側に起きれば不幸中の幸いだが、メインシャフトで段付きが出たら修復は厄介なことになる。
径は大きいが薄いスプロケットナットの締め付けには、国産車ではまず指定のないロックタイト(強力な赤)を塗布する。
左ネジを締めこむ時は、初めに67.8Nmのトルクで締めて、さらにそこから30~40°増し締めしてロックプレートを取り付ける。