10年以上昔のモデルとはいえ、新車として生み出されたのは1997年。日本製のバイクなら、オイル交換とグリスアップを続ければまだまだいけるはず。しかしプロの目はごまかせない。あっちも、こっちもと、気になるポイントをズバズバ指摘してくる。マニュアルが指示するメンテ内容は伊達ではないようだ。
センタースタンドを持たないスポーツスターのタイヤを浮かせるために、スズヤオートでは2種類のスタンドを使用する。フロントを持ち上げるのは、老舗輸入車ディーラーの長田モータースで開発された、通称長田スタンド。ダウンチューブのエンジンハンガーに明いた穴を利用して、パイプで製作したスタンドを掛けるのだ。簡単な構造だが、リア側のパンタグラフジャッキとのコンビで、タイヤを揺すっても安定性は抜群。
メーカーが発行する車両使用説明書を見ると、ステアリングヘッド、ホイール、スイングアームなど車体各所にかなり細かくグリスアップが指示されている。この年式のスポーツスターは、ホイールベアリングがテーパーローラータイプで、ボールベアリングのようにダストシール+オイルシールという構造が採れず、水や異物が侵入しやすいのだそう。いったんグリス切れとなれば、ベアリングの摩耗の進行は早まるから、取説には従ってほしいということだ。
ホイールにセットされたテーパーローラーベアリングの遊びは、ベアリング間のスペーサーの長さによって変化し、この年式のスポーツスターには、純正パーツとして数種類の微調整用のシムが設定されている。ベアリングの遊びは、タイヤを浮かせた状態でホイールを揺すり、その際に生じるガタの大小で判断する。年式は古いが走行距離は少ないから大丈夫だと思っていたが、フロントのガタはちょっと多めとのこと。グリスアップした後に再確認が必要だ。
メンテやメカニズムに興味のあるサンメカにとって、サービスマニュアルは実作業の手助けをしてくれるだけでなく、楽しい書物でもある。ハーレーダビッドソンジャパンでは、日本語版のサービスマニュアルを発行しており、現在でも1997年スポーツスター用は入手可能。価格は1冊1万円台と高価だが、専用工具や作業の手順など、日本製バイクしか触れたことのないサンメカには新鮮だ。
燃料コックのストレーナーは12ヶ月、8000kmごとの清掃が指定されている。実際はそれほどの頻度でチェックする必要はないが、年式の古い車両では負圧コックのチューブの硬化や抜けに注意が必要。この車両もホース表面がカチカチで簡単に抜けてしまった。また純正コックの中には、キャブ交換などで負圧が小さくなると、ダイヤフラムがうまく作動せず、燃料を十分に流せなくなるものもあるから注意して欲しいとのこと。
ホイールにセットされたテーパーローラーベアリングの遊びは、ベアリング間のスペーサーの長さによって変化し、この年式のスポーツスターには、純正パーツとして数種類の微調整用のシムが設定されている。ベアリングの遊びは、タイヤを浮かせた状態でホイールを揺すり、その隙に生じるガタの大小で判断する。年式は古いが走行距離は少ないから大丈夫だと思っていたが、フロントのガタはちょっと多めとのこと。グリスアップした後に再確認が必要だ。