カスタムしづらいと言われるラバーマウント スポーツスター。リジッドスポーツと比べて20kg以上重い車重もさることながら、ネックとされるのがシート下のオイルタンクとバッテリーだ。このふたつが収納されるサイドカバーが大きく外に出ているため、どれだけ他をカスタムしてもリジッドスポーツのようなスマートさを手に入れることはできない。
さまざまなスポーツスター カスタムを手がける神奈川・川崎のカスタムショップ『ヒデモーターサイクル』にとっても悩ましい問題のひとつとなっていた。そんな“永遠の課題”に対して、ビルダー渡 直也さんが出した答えが、オリジナルのオイルタンク&バッテリーの移設という思い切った手法だ。シート下の構造そのものを変えるわけだが、いざ着手するとその作業負担に辟易する。それでも着手すると決めたのは、「ここをクリアしないと、理想的なスタイルを手に入れられないから」という信念から。
「目指すスタイルも結構悩みましたが、ヒデモ流に解釈するカフェレーサーに決めたんです。インジェクションモデルなので、ECMの移設や配線処理など、本当に苦労しました(笑)」
カスタムにほぼ一年を要したこのスポーツスター、ワンオフのフューエルタンク&シートカウルや加工装着したドラッグバーなど、ヒデモらしさが随所に見受けられる。テーマとなったカフェレーサーについてもそのままブリティッシュにするのではなく、ヒデモ流にアレンジして70’sアメリカンな雰囲気をまとった仕様に。それでも特筆すべきは、ラバーマウントモデルをここまでスマートに仕上げたことだろう。
量産化も検討しているというオリジナルのオイルタンク。今後、このフォルムがヒデモオリジナルとなる日が来るのかもしれない。