まるで、どこかの倉庫に永らく眠っていたかのような風体の一台だが、ベースは2001年式 XL1200Sで、オールペイントされている。そう、タンクやフェンダーはもとより、マフラーやエアクリーナーなどあらゆる箇所にサビ塗装を施しているのだ。
「パッと見たときのヤレた感じが気に入っています。放置していたどころか、割りと細かいところまでメンテナンスしていますよ」
そう笑うのは、本車両のオーナーでもある大阪のデイズモーターサイクル代表の高橋靖英さん。元々は大阪の有名なバイク屋街に居を構えるバイク屋の二代目で、堀江に拠点を移してから精力的にハーレーのカスタムに取り組むように。根底には“気持ちよくクイックに乗り回せるスポーツバイク”という好みがあることから、ツインプラグ仕様の1200Sをベストと思う状態まで昇華させた。
「スポーツスター本来のスタイルはしっかり残したかった」と語るとおり、エイジングペイントを施しつつも、スタイルそのものはノーマル然としたもの。それでいて、前後ショックのグレードアップやラジエターの換装、BURN!H-Dスポーツのエキゾーストなど、パフォーマンスアップのためのカスタムが見てとれる。そこに、ダウンキットでヘッドライト位置を下げたり、前後ホイールをブラックアウトさせるなど、ビジュアル面へのアプローチにも抜かりはない。
「スポーツスターとしてのいいところを残しつつ、自分にとって一番気持ちいい乗り味になるカスタムを加えました。僕にとってのベストな一台です」
自分にとっての“ちょうどいい”を知ることができれば、バイクライフがもっと楽しくなる……。高橋さんの話の端々からは、そんなメッセージが伝わってくるようだ。