2023年10月20日(金)、ハーレーダビッドソンの世界戦略モデル「X350」「X500」のジャパンプレミアがjing原宿(東京都渋谷区神宮前6-35-6)で開催された。会場には両モデルの全カラーとなる合計8台が展示され、ハーレーダビッドソンジャパンの野田社長によるプレゼンテーションでイベントスタート!マシンのアンベール後、ハーレーダビッドソンXプロダクトチャンピオンの宮中氏による詳細なモデル説明が行われた。詳しくは以下写真をご覧いただきたい。
華々しくデビューを飾ったXモデルであるが、さらに21日(土)から29日(日)までポップアップカフェ「HARLEY-DAVIDSON X Cafe」が、ジャパンプレミアが開催されたjing原宿にて期間限定でオープン中。このカフェではX350とX500が展示され、野外テラスのキッチンカーでドリンクや、ハーレーダビッドソンオリジナルドーナツが販売される。さらに会場でアンケートに答えるとハーレーアパレルやハーレーグッズが当たる特別プレゼントも用意されている。
2023年10月20日(金)、東京原宿で華々しくデビューを飾ったハーレーダビッドソンの世界戦略モデル「X350」「X500」。
10月21日(土)から29日(日)までポップアップカフェ「HARLEY-DAVIDSON X Cafe」が期間限定でオープン!
ハーレーダビッドソン「X350」「X500」のジャパンプレミアは野田社長のプレゼンテーションでスタート。ハーレー120年の歴史についてや2023年の注目モデル、そして「憧れを多くの人に」というコンセプトにより、今回登場したXモデルでエントリーセグメントに打って出る、という施策について語られた。
お待ちかねのアンベール! 「X350」「X500」の日本初公開だ。
続いてハーレーダビッドソンXプロダクトチャンピオンの宮中氏によるXモデルの詳細について説明が行われた。
シート高777mmのX350の足つき検証。モデルは身長170cmの女性で両足の母指球まで地面に着いている。
続いてシート高820mmのX500の足つき検証。モデルは身長183cmの男性であるが、両足がべったりと地面に着き、膝にも余裕がある。
ハーレーダビッドソンの新たな挑戦である、「X350」「X500」。デリバリーは11月末〜12月頭に予定されている。気になる価格であるが、X350は全カラー(ドラマティックブラック、ダイナミックオレンジ、スーパーソニックシルバー、パールホワイト)ともに69万9,800円(税込)。X500は全カラー(ドラマティックブラック、ダイナミックオレンジ、スーパーソニックシルバー、パールホワイト)ともに83万9,800円(税込)。年内の販売目標は500台で、すでに150台もの予約注文が入っているという。
ホットドックカスタムサイクルスの協力により、X350のデザインのイメージソースとなった、XR750レーサーが会場に展示された。
さらに会場には稀代の「看板屋」、NUTS ART WORKSの比内氏がペイントを手掛けたX350のフューエルタンクが展示された。シンプルかつグラマラスな仕上がりだ。
さらに4Q CONDITIONINGのマックス・シャーフがカスタムペイントを手掛けたX350のフューエルタンクも展示。オレンジをベースとしたこの感性には脱帽!
会場にはハーレーダビッドソンXのオリジナルアパレルも展示された。
期間限定でオープンする「HARLEY-DAVIDSON X Cafe」では野外テラスのキッチンカーでドリンクや、ハーレーダビッドソンオリジナルドーナツが販売される。
ハーレーダビッドソンプレミアムドーナツは500円で、食べ応え十分!!
ここからはXモデルのジャパンプレミアに先駆け、ハーレーダビッドソンジャパンにて10月16日(月)〜18日(水)に開催された「X350 X500先行メディア試乗会」で両モデルの乗り味を確かめることができたので、Xモデルのファーストインプレッションをお届けしよう。試乗枠は約120分で、オフィシャルカメラマンによる撮影を行いながら都内を軽く流す程度の試乗であったが、両モデルのポテンシャルの片鱗を伺うことができた。
ハーレーの小排気量モデルと言えば、1960〜1970年代にかけてハーレー傘下であったイタリアのアエルマッキが手掛けた250ccの2スト単気筒モデルや350ccの4スト単気筒モデルなどが思い出されるが、中には排気量65ccの2スト単気筒モデルも過去には存在していた。
今回登場したX350とX500は、2018年7月30日にハーレー本社が発表した中期成長計画「More Roads to Harley-Davidson」の中において、アジアメーカーと協力し、排気量250ccから500ccまでの車両を開発し、インドやアジア地域のさらなる進出を狙うと公言されていたのだが、まさにそのプロジェクトの結実と言える。
Xモデルは日本に先行して中国マーケットで発表済みの世界戦略モデルだが、米国本社のミルウォーキ-で設計され、その生産はイタリアのベネリを傘下に収める中国の銭江モーターによるもので、2021年に中国の浙江省温嶺市にハーレーとの合弁会社が設立されている。メイドインチャイナのハーレーダビッドソンに違和感を感じないと言えば嘘になるが、フォーカスすべきはそのプロダクトの出来であり、バイアスはかけずに評価はその点に絞り込み、シンプルかつストレートに見るべきだ。
まずはスタイリングから。X500の初見は想像していたものより、「意外に車格がある=大きい」というもので、X350は「ふた回り小さいスポーツスターXR1200」というものだった。先行メディア試乗会ではX500からの試乗となったので、まずはX500のインプレッションからお伝えしよう。
公式アナウンスでは、6速トランスミッションに排気量500ccのDOHC4バルブ、クランク角360°の水冷式パラレルツインエンジンを搭載したアメリカンロードスターモデルと紹介されているが、いわゆるネイキッドスタイルのマシンと言って差し支えないだろう。ボア69mm xストローク66.8mmという、ほぼスクエアに近いエンジンで、最高出力47HP@8,500rpm、最大トルクは46Nm@6,000rpmを発揮する。
前後ホイールは17インチのアルミキャストタイプを採用し、タイヤはフロント120/70-ZR17/58W、リア160/60-ZR17/69WのMaxxis Supermaxx STを装着。フロントフォークはφ50mmの倒立タイプでリバウンド調整機能付き。リアサスペンションはプリロード&リバウンド調整機能付きのモノショックを装着。フロントブレーキは対向4ピストンのラジアルマウントキャリパーをダブルで装備、リアはシンプルな片押し1ピストンキャリパーが取り付けられている。フロントディスクは320mm、リアディスクは260mmだ。
車両重量は208kg、シート高は820mmとなっている。同等クラスのモデルと比べて決して軽量モデルというわけではないが、取り回しに苦労することはないだろう。足つきに関しても平均的なものだ。ライディングモードは搭載されておらず、メーターはシンプルなアナログ式。液晶部にエンジン回転数、トリップメーター、時計などを表示することができるが、シフトインジケーターはない。
ポジションはワイドかつアップライトなもので、特にハンドルバーは肩幅よりかなり広い印象だ。ステップ位置はニュートラルなミッドコントロールであるが、足を下ろした際にふくらはぎがステップに当たるのが少し気になった。早速エンジンに火を入れると、ちょっと面食らうような迫力のサウンドが2 into 1エキゾーストから響き渡る。これは気分が高揚する。引きしろの調整可能なクラッチはとても軽く、ひと昔前のクラッチがねっとりと重いハーレーとは比較にならない操作性だ。
エンジンは非常にトルクフルかつパルシブな鼓動感があり、特に5,500回転辺りからの加速が心地よい。手の内にある加速感、とでも言えばいいのだろうか。しかしながら十分に速い。ブレーキは握り込むことでじわりと効くタイプで、ラジアルマウントの見た目とは少しギャップのある印象だが、制動力に不満はない。パッドにアタリが付いてくれば、タッチも変わってくると思われる。旋回性は平均点といったところか。ヒラリヒラリというイメージではないが、しっかりと基本に忠実に体重移動を行えば、素直に旋回してくれる。
X500は排気量500ccの中排気量モデルであるが、街乗りをメインにしつつもワインディングやツーリングにも積極的に連れ出したいモデル、つまりハーレーで言えば、上級モデルのナイトスターが競合になるのでは? と個人的に感じた。X500の価格は83万9,800円(税込)。ナイトスターが177万8,800円(税込)〜なので、その価格差は約94万円。ハーレー伝統のVツインエンジンにこだわるのでなければ、X500 はかなり魅力的なモデルだ。
続いて普通二輪MT免許で運転できる現行モデルで唯一のハーレーとなるX350に試乗。冒頭で、「ふた回り小さいスポーツスターXR1200」と第一印象をお伝えしたが、実際に跨ってみると、その車格はとてもハーレーダビッドソンだとは思えないコンパクトなものだ。ポジションはX500に比べてひと回り以上タイトな印象だ。ハンドルバーは肩幅より若干広めで、グリップはライダー側に少し絞り込まれている。
シート高は777mmで足つきは良好。ステップはバックステップ的なポジションで、やや高い位置に設置されていると感じた。車両重量は195kgで、X500の208kgに比べて13kg軽い。X350も決して軽量モデルではないのだが、この13kgの差が車両の取り回しに大きく影響し、ずいぶんと軽い印象を受けた。
スタイリングは、ファクトリーレーサーの金字塔「XR750」をイメージさせるシャープなものだ。エッジの効いたフューエルタンク&シートカウルは、まさにXR750なのだが、どちらかと言えば同じXR750をイメージソースにしたスポーツスターXR1200のスタイリングに近いと思われる。公式にはアメリカンフラットトラッカースタイルとアナウンスされている。
搭載される排気量353ccのDOHC4バルブ水冷式パラレルツインエンジンは、ボア70.5mm xストローク45.2mmのショートストロークで、最高出力36HP@9,500rpm、最大トルクは31Nm@7,000rpmを発揮する。クランク角は360°、トランスミッションは6速を搭載。前後ホイールはX500と同じ17インチのアルミキャストタイプでタイヤも共通のMaxxis Supermaxx STを装着。
フロントフォークはφ41mmの倒立タイプでリバウンド調整機能付き。リアサスペンションはプリロード&リバウンド調整機能付きのモノショック、フロントブレーキは対向4ピストンキャリパーに260mmのウェーブディスクをダブルで装備。リアは240mmのウェーブディスクローターに片押し1ピストンキャリパーが取り付けられている。
メーターはX500と同等のシンプルなアナログ式。液晶部にはエンジン回転数、トリップメーター、時計などを表示することができるが、シフトインジケーターはなく、ライディングモードも搭載されていない。
エンジンに火を入れると、こちらもかなり迫力のサウンドなのだが、X500に比べると若干控えめなイメージだ。ギアを1速に入れクラッチをミートすると、195kgの車体がスルスルと走り出す。トルクフルなX500からの乗り換え直後だったので、第一印象はそのサウンドも相まって、ずいぶんと大人しい印象を受けたのだが、30分も走るとタイトなポジションにも馴染み、6,500回転くらいからのトルクフルな加速感に胸踊る自分にふと気が付いた。もちろんX500に比べると非力なことは否めないが、軽快に吹け上がるショートストロークのエンジンフィーリングは、ハーレー現行ラインナップモデルでは決して味わえないものだ。
気になったのが、バックステップのポジションについて。後方かつ若干上方にステップが設置されているので、身長180cmの自分には少し窮屈に感じたのだが、女性ライダーや小柄な方にとっては問題ないと思われる。それともうひとつ。信号待ちなどでラジエターファンが回った際、足元に向けて熱風が吹き付けてくるので、夏は少々きついのではないかと感じられた。X500では、ファンが作動しても足元に熱風が吹き付けてくることはなかったので、おそらくX350のウイングタイプのシュラウドが影響しているのだと思われる。
X350はやはり街乗りメインのマシンと言える。100km程度のショートツーリングであれば問題なくこなせるが、ロングツーリングではストレスを感じることもあると思う。しかし日常の足代わりに使うには現状ラインナップの中でも最適のハーレーダビッドソンだと断言できる。価格は国産モデルとも十分に戦える69万9,800円(税込)。ハーレーのエントリーモデルとしての大きな役割を担っている世界戦略モデルであるX350。市場での今後の評価にも、ぜひ注目したい。