「テーマは、“アメリカにいるお金のない田舎のお兄ちゃんのハーレー”。ストックパーツの良さを引き出しつつ、しっかり走れる一台に仕上げました」
そう語るのは、ブラッククローム代表の松本悌一さん。確かに、ついこの間までアメリカ南部のガレージで眠っていました、と言われたらそのまま信じてしまいそうなヤレ具合である。各所のサビやボロボロのシートなど、ビンテージハーレーでなければ正気を疑われかねない。だが、それが“味わい”というエッセンスとして雰囲気を生み出しているのだから、恐れ入るばかりだ。
オーナー自身も「そんなにやっていないんです」というが、要所要所に“気の効いた”手が加えられている。「アメリカから取り寄せたときのスタイルそのまま」(松本さん)ながら、16インチだったフロントホイールをあえて21インチに変更。さらにエンジンのコンディションはオーバーホール時にスペシャル加工を施したベストセッティングとなっている。特に松本さんが気を使ったのが高い耐久性能とライドフィール。その狙いどおり、「これぞ求めていたハーレーダビッドソン」とオーナーから太鼓判を押される仕上がりだ。
壊れないビンテージハーレー……。ハーレーダビッドソンに憧れる者が夢見る理想の姿がここにあった。