「壊れずに速く走れるショベルを作ることができるのか」
故障を頻繁に起こす愛車に悩まされたオーナーが、不調知らずというH-D陸友メカニックの芦田剛史さんの愛車であるショベルヘッドを見て、こう漏らしたことがプロジェクトのはじまり。ふたつ返事で「可能です」と答えた芦田さんによって、ベース車両の選定からチューニングまで、フルコースのメニューが組まれた。
まず着手したのは、やはりエンジンだ。NHRA(北米ホットロッド協会)のドラッグレースでよく知られるCP-Carrillo社製の高強度アルミ鍛造ピストン「CPピストン」を取り込み、油圧ラインも調整しなおした。さらにCVキャブレターを投入してフルチューンされたショベルヘッドは、メカニックをして「常識的な走りができるショベルに仕上げました」というレベル。なんと、セルスターター一発でエンジンが始動するほどの仕上がりに。
「実際、走ったらかなり速いです。なので、パフォーマンス系パーツの選定もかなり気を使いました」
ポリス用ステアリングダンパーなど、ストックの良いところは活かしつつ、“走る、曲がる、止まる”というオートバイとしての性能まで整えられたこの一台。アメリカ仕込みのメカニックの本気が注入された、70年代モデルとは到底思えないマシンである。