昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響から秋に開催された神戸の「ニューオーダーチョッパーショー」が今年は恒例の夏に復帰。去る2021年8月22日(日)に神戸国際展示場3号館で開催された。
2020年のシーズンを振り返るとカスタムショーやミーティングなど多くのイベントが中止、もしくは延期。インドアのカスタムショーでは、このニューオーダーチョッパーショー(以下NOCS)が唯一開催されたことが記憶に新しいが、今年は何せ緊急事態宣言下。昨年のNOCSの場合、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いた10月の上、政府がすすめる“Go toキャンペーン”の最中ゆえ、まだ開催可能なムードもあったのだが、8月17日に緊急事態宣言の発出が決定され、20日より実施された今年は主催者であるコアマシーンの清水重貴氏曰く「開催にあたって今年は昨年以上に葛藤があった」とのこと。
実際に出展エントリーのキャンセルや当日の雨予報などが重なり、昨年のような観客動員とはならなかったものの、ショーのレイアウトとしてはそうした不利な条件を感じさせない雰囲気となっており、結果として会場には極上のチョッパーたちが並ぶことになった。
もちろん、今年もマスク着用の義務付けや会場の換気、入場口での手指の消毒の徹底や“新型コロナ接触アプリ”などのスマートフォンへのインストールを呼び掛けた上、感染拡大防止に努めて開催された同ショーだが、そうした主催者側の努力や参加者たちの協力により、会場は良い意味でいつもと変わらないムード。また予報に反して天気も雲間から時折、青空がのぞく状況となり、皆が“日本唯一のチョッパーショー”を楽しんだ様子である。ここからは、そんな当日の模様を展示されたカスタムマシンと共にまずは紹介していこう。
緊急事態宣言下での開催ゆえ、昨年より観客動員は落ちたとのことだが、会場はご覧のとおり程よく“密”を避けられる雰囲気。観客が一気に来場するということはなかったが、今年は昼から午後にかけてジワジワと入場者数が伸びた印象だ。
会場は例年どおり神戸国際展示場3号館。昨年のようにオープン前、長蛇の列とはならなかったが、今のご時世的には致し方ないところだろう。
昨年同様に入場口では検温と手指の消毒を徹底し、フロアに張り付けられた「キープディスタンス」のメッセージボードで互いの距離の確保が呼びかけられた今年のNOCS。会場のトイレにはうがい薬も設置される徹底ぶりな上、マスク着用は必須です。
毎年、出展者同士の投票によって順位が決定されるNOCSだが、今年はベンダーブースの出店者にも投票権が与えられたとのこと。結果、愛媛のグリーンモーターサイクル、宮田智也氏がチャンピオンを獲得し、僅差での2位はリボルト、3位はシウンクラフトワークスとなった。
ここからはアワードバイクを中心にNOCS会場を飾ったマシンたちを紹介していこう。まずはチャンピオンのグリーンモーターサイクルはご覧のパンヘッドチョッパーでチョッパージャーナルピックも獲得。オールドスクールが人気のNOCSらしい結果だろう。
板金を駆使した立体的なフレイムスやキックギアを流用したブレーキペダル、各部のディテールが印象に残るグリーンの52FL。意外にもグリーンがベスト・オブ・ショーを獲得するのはこのマシンが初、とのこと。
ナックルをベースにワールドクラスのクオリティを誇るのが昨年のチャンピオンであるリボルト製作のチョッパー。ちなみにこのマシンはバイブズ誌のピックも獲得。
掛け値ナシに隙のないクオリティを見せるリボルトのマシン。ネック周りの処理の細かさや独特な造形のプライマリー周り、ペイントワークやジミードープ製シートの造形も見事に尽きる一台である。
ビルダーズチョイス3位を獲得したシウンのショベル・チョッパーは写真の女性がオーナーとのこと。チョッパーといえば「ハンドリングが重い」やら「乗りづらい」という印象で捉えられがちだが、正しくディメンションを追求したものはその限りでない証明だろう。
そのシウンクラフトワークスは過去作を含め、今年は7台のチョッパーを展示。極上のマシンたちが会場に華を添えることになった。
山梨からエントリーのバイクガレージKOKOROはコチラのネオチョッパーでカスタムフロントピックを獲得。全体のバランスはもとより各部のディテールワークも絶妙な仕上がりを見せつける。
先日、開催された名古屋ジョインツに引き続きエントリーを果たした三重県のヴァーチュオーゾはTCベースのディガーでホットバイクジャパンピックを獲得。ちなみにこのマシンはドラッグレースにも参戦中とのこと。
世界に名を轟かせるカスタムワークスゾンはご覧のツインキャブナックルでヤンシーマガジンピックを獲得。同店といえばハイテックなイメージを持つ方も多いと思うが、ご覧のとおり様々なスタイルに対応する作風の幅広さと卓越したスキルを見せつける。
一見すると当時もののように思えるゾンの車両だが、その実、フィニッシュはエイジング加工のペイント。それがオールド・ボバーらしいムードを強調する。
ツイン化された上、キャブが車体左サイドに移設されたエンジンやホイールの造形など高い技術が注がれたことが伺えるゾンのナックル。随所にはトップビルダーならではのテクニックが垣間見える。
毎回、華やかなキャンギャルとクラブスタイルのカスタムでショーに華を添える大阪のRTBはご覧のマシンでウィズハーレーピックを獲得。ミルウォーキーエイトをベースに、このフィニッシュは見事。
RTBは同ブースで子宮頸がんや乳がん患者に向けたチャリティーも展開。ショーをとおしたこのような活動は評価されるべきだろう。
兵庫のモトリークルーはご覧のバガースタイル・カスタムでプライマリーマガジンピックを獲得。大径ホイールと美しいペイントワークが印象に残る一台である。
京都のカミカゼピンストライピングはチョロスタイルのカスタムをエントリーし、クラブハーレーピックを獲得。NOCSといえば旧車をベースにしたオールドスクール・チョッパーが中心というイメージも強いがエントリーは多種多様です。
コチラがCHピックを獲得したカミカゼのヘリテイジ。ハンドルやホイール、マフラーなど要所を押さえることで完成度が高まる点もチョロスタイルの魅力だろう。
カミカゼからエントリーを果たしたもう一台がこのマシン。ちなみにサイドバッグは同店による新製品とのことで近日中に販売開始予定とのこと。
NOCSが選ぶホットストリート賞を獲得したのは名古屋のショーンズモーターサイクル。このように新規ショップのプロモーションの場としてもカスタムショーは重要だ。
ショーンズモーターサイクルが出展したのがコチラのホンダXL125ベースのカスタム。“バージンハーレー”という当サイトのコンセプト上、紹介車両はハーレーが中心となってしまうが、ベース車両が何かという部分に囚われないのも“チョッパー”の基本です。
ハーレーに負けないクオリティで仕上げられたトライアンフやヤマハXSチョッパーでエントリーを果たしたFONKモーターサイクルはROLLERマガジンピックをゲット。車体のバランスも絶妙だ。
サラリと要所を押さえたコチラのパンヘッド・チョッパーは京都のラックモーターサイクル代表の杉原氏自身の愛車。ある程度の年齢になると、こうした車両の魅力が染み入るように分かりマス。
クロームが施されたファットボブタンクに描かれたGRIMBによるフレイムスやエンド部をフィッシュテール化したトランペットマフラー、B&Hシフターなど、かなりソソられる仕様のこのマシン。メーター部分にハメ込まれた革製のパッドは、おそらくボンネビルレーサーなどで見られる“アゴ置き”でしょう。
各ショーごとに必ず新作を披露するラックはご覧のパンヘッド・チョッパーも出展。シンプルさの中にも同店らしさを感じさせる一台である。
愛知県のヨッシーズはご覧の新作ショベル・チョッパーでエントリー。キャブのFCRやホイールの選択に走りを求める姿勢が伺える。
大阪のモーターサイクル・フォースはFOR SALE中のショベル・チョッパーと共にコチラのFXRを披露。バックステップやマフラー、17インチのホイールなど“峠”が楽しそうな仕様だ。
地元、神戸のCREEKモーターサイクルはショップが得意とするヤマハSRとハーレーの二刀流でエントリー。普段の仕事、そのプロモーションとしてやはりカスタムショーは最適だ。
京都のホットチョップはFOR SALE中のEVOチョッパーでエントリー。カスタムショーの場で顧客を掴むこともプロに求められる重要な要素だろう。
アメリカからチョッパーを輸入するBarnfindは今年もFOR SALEマシンをズラっと展示。シンプルなチョッパーが立ち並ぶ様は壮観だ。
愛媛からエントリーのテイクルートはホンダ・スーパーカブと共にシンプルなスポーツスターを出展。こうした現実的な車両もユーザーにとっては参考になるハズ。
広島のベックスはクロームが美しいショベル・チョッパーでエントリー。ハンドルの形状にビルダーの苦心が伺える力作だ。
神戸のモトコムはバイク展示ブースにキャンギャルを手配し、撮影会を敢行。いつもながらショーを盛り上げる姿勢には脱帽デス。
お馴染みのエースモーターサイクルはコチラのショベル・チョッパーでエントリー。飾り気なくサラリと展示しているあたりが同店らしい。
京都のグレーシアはダイナをベースにしたご覧のカスタムを披露。カスタムしづらいスクエアフレームにも関わらずガラリとイメージチェンジが果たされている。
カスタムショーといえばベンダーブースでのショッピングも重要な楽しみ。バイスやクランクデビル、フラットヘッドにトラッシュデポなどお馴染みのショップが並び、訪れる来場者を楽しませる。
ニューオーダーといえば欠かせないのがアートエキジビジョン的ミニ・イベントである“バーバリアンサーカス”。国内を代表するピンストライパーやペインター、アーティストの作品がチャリティーオークションされる光景は、もはやお馴染みだろう。
ショーのフィナーレを飾る恒例のイベントが“緊縛師”上条早樹によるロープアートショー。妖艶な世界観が訪れた観客たちを魅了する。
新型コロナウイルス拡散の緊急事態宣言下、ショーを成功に導いた主催であるコアマシーンの清水重貴氏。どんな状況でもカスタム・シーンを盛り上げんとする姿勢は感服です。