「まるでメーカーがそのまま出してきたような一台にしたかった」
トランプ代表の長岡 守さんが狙ったのは、カンタンそうで実はもっとも難しい完成度の一台だ。やろうと思えば青天井とも言われるハーレーのカスタムだが、やりすぎてしまうとノーマルモデルが持つ本来の魅力を失ってしまうことになる。ましてや、ベースモデルとなったのは屈指の人気を誇るファクトリーカスタムモデル。フォーティーエイトそのものの味わいを保ちつつ、「鈍臭いところを整えてやる」(長岡さん)ことで良いところを引き出し、“乗って楽しいスポーツスター”に仕上げること。その目標どおりの一台ができあがったとビルダーも満足そうだ。
近年、主にスポーツスター用パーツを数多く排出している同ショップのフルカスタムということで、そのディテールを見るとトランプによるカスタムメニューのフルコースといったところ。ただ、パーツをそのままボルトオンしてもこうはならないところがカスタムショップとしての腕の見せどころで、実はオーナーの井上さんも自分の手でカスタムを進めていたのだが、「どうしてもトランプのバイクの風合いが出せない」と、最後の手段でショップオーダーとした。
濃度の違うパープルのツートーンというやや派手めなカラーリングは、ビルダー曰く「1960年代のホットロッドシーンをインスパイアしたもの」だと言う。トランプのソロコブラシートをベースに張り替えられた表皮の風合いは、現行モデルとは思えないビンテージ感を醸し出しており、それでいて攻撃的なレーサースタイルとしての完成度も高い。フォーティーエイト カスタムの新しい指標となるか。