決して少なくはない、スポーツスターベースのカフェレーサー。土台もスタイルもキャラクターが強いだけに、“どこまでカフェレーサー色に染めるか”が、オーナーの好みを探るひとつの目安となる。その観点から今回の一台を見ると、なるほどテイストというショップの味付けを全面的に活かした英国色の強い嗜好が伺い知れる。
テーマとされたのは、『英国っぽい大人のカフェレーサー』。以前はラバーマウント型 XL883R に乗っていたオーナーのハラダさんだが、「河内山さん製作のリジッドスポーツ版カフェレーサーに乗ってみたい」と、テイストの門を叩いた。その意図を汲み取り、ベースであるツインプラグのXL1200Sの良さを活かしながら、スポーツスターとは異なる紳士的な風合いを注ぎ込み、ビルダーをして「テイスト カフェレーサー コンセプトモデル」と呼ぶまでの完成度に至った。
セパレートハンドル、バックステップ、2in1 メガホンマフラーは、いわゆるカフェスタイルを目指すうえでのマナーとし、大径ヘッドライトにワンオフのフューエルタンク&カウルシートを備えたうえで、英車らしいモスグリーン×チェッカーデザインでフィニッシュ。“レーサー”であるから、当然ながらブレーキングや足まわりのセッティングはブラッシュアップ済み。リジッドならではのオートバイらしさにブリティッシュな薫りが吹き込まれた、テイストを代表する一台。まるでイギリスのような鈍色の空のもとで見ると、ロンドンの公園にでもいるかのような錯覚さえ覚えてしまいそうだ。