パッと見ただけで、これがインジェクション仕様のツインカムだと気づく人は多くあるまい。スプリンガーソフテイルというビテージルックなモデルがベースと言えど、シリンダーヘッドがパンヘッド型に、前後フェンダーやシート、ハンドルまわりなど1940年代のFLそのものを見事に再現した一台である。
テーマは「40’s ボバー U.S.ネイビー風」とされるこのカスタムモデル。とにかく細部に渡って“気のきいたカスタム”が施されている。このカスタムを手がけたH-Dシティ中野店の松本 泰輔さんがポイントとしてあげるのが、エンジンまわりと前後ホイールだ。
パンヘッド風にまとめられたエンジンのシリンダーヘッドカバーは、米COVINGTONS CUSTOMSからドロップされているパンヘッドスタイル バルブカバーズ。カムカバーは「そのままアメリカもののカムカバーを使っちゃうと、オールドスクール風を狙っているのにニュースクール風になっちゃうから」と、鍛造パーツを手がけるメーカー FORK にパーツ製作を依頼。松本さんの意図を汲み取ったオリジナル製品とともに、見事にまとめられている。
クラシカルな印象を決定づけている足まわりは、FLスタイルの基本でもある前後16インチ、しかもH型アルミリム。40本スポークという古き良き時代のハーレーダビッドソン特有のスタイルに、同じくオールドルックなオールステート製タイヤが組み合わさり、見る者を唸らせるビジュアルを手に入れている。当時のハーレーをよく知る松本さんだからこその見事なまとめ方と言えよう。