ライトカスタムながら、大柄なイメージの強いソフテイルをコンパクトにまとめた一台である。ベース車両はソフテイルデュースだが、その面影はどこにもない。三つ又から水平に伸びるドラッグバーにやや高めのミッドコントロールステップ、そしてライダーの体を前方でホールドするよう設計されたワンオフ ソロシートと、ビルダー渡が狙ったのは“チョッパーながらレーシーな雰囲気を醸すような一台”というところに集約される。
ヒデモのスポーツスター カスタムを見慣れていると、定番の箇所を抑えつつも最低限のカスタムにとどめていることが分かる。オーナーからの要望がライトカスタムであったのはもちろんだが、「ウチでは初のソフテイルのカスタム。手探りだったけど、ショップのカラーを意識しながら全体のバランスを考えて手を入れていった」というとおり、未知なるスタイルへの挑戦という裏テーマも含まれていた。
力強いツインカムの鼓動を感じながら徐々に加速していく。体に伝わるパワーは確かにビッグツインのそれなのだが、ライディングポジションはどのソフテイルとも異なる。90度角で沈みこませないシートに、腰の位置ぐらいまで膝が押し上げられるステップポジション、そして腕を伸ばしつつも低く保たれたドラッグバーと、“らしくない”攻撃的な姿勢に気持ちが高揚してくる。ハイウェイ走行ならば、その魅力を存分に味わえただろう。生まれ変わったデュースの主張度合いは、以前とは比べものにならないほどになってしまった。