VIRGIN HARLEY | 最新ハーレーの潜在性能を引き出すチューニングで可能性を追求するのがHSCのポリシーだ 特集記事&最新情報

最新ハーレーの潜在性能を引き出すチューニングで可能性を追求するのがHSCのポリシーだ
掲載日/2018年10月10日
取材協力/HSC
取材、撮影、文/森下光紹
構成/バイクブロス・マガジンズ
東西に長い静岡県にふたつの拠点を持つ『HSC』は、その両店舗に最新型のダイノマシン(チューニング用の大型機械)を設置している。すべてのハーレーがキャブレターからインジェクション吸気に変更されて10年以上経過した現在、エンジンのコンディションを最適化するチューニング作業は、各車必須と言っても良いのである。

ハーレーらしいエンジンフィーリングを作り出す
それがチューニングであり、単なるパワーアップではないのだ

ハーレーを好むライダーは、基本的にその個性的なルックスと独特の乗り味に大きな魅力を感じているはずだ。今や2,000ccにも迫る勢いの大排気量化が進むハーレーだが、その理由は、大きな社会問題でもある環境汚染に対応したエンジンで、なおかつ大きなトルクフィーリングを維持することが目的だ。

古いモデルと乗り比べると、なるほど旧モデルには豊かなトルクフィーリングが実感できるが、そのスピードレンジはかなりの低速域である。1970年代のビッグツインエンジンは1,200ccの排気量で300kgの車体を引っ張っていたのだ。

絶対性能のアップと、環境保全に準じたエンジン。マフラーには触媒が設置され、インジェクション吸気というコントロール方法で走る現代のハーレーは、驚異的な空冷エンジンであると言っても良い。

社長の佐々木綱柄さん(写真左)と静岡店スタッフの森田康裕さん。かつては共にメカニックスクールで学んだ盟友でもある。佐々木さんが先代から社長としての立場を引き継いだ時には森田さんもスタッフだったので、数年ぶりの復帰となる。新体制に、強い助っ人が現れたようだ。

HSCの佐々木綱柄(こうへい)さんは、様々な規制が厳しい現代だからこそ、チューニングの重要性を訴えている人物だ。まず、チューニングの概念だが、大きなパワーアップやトルクアップということだけではなく、調整という意味合いが大きいと語る。

「キャブレター時代と違って、全ての領域を細かくセッティングできるのがインジェクションチューニング最大の特徴であり大きなメリットです。目的に応じたセッティングが可能なので、様々なエンジンフィーリングを演出できますね。だから全てのハーレーライダーが、インジェクションチューニングを施すべきだと思います」

モアパワーを求める元気なライダーから、ツーリング主体のライダー。そして女性ライダーにも有効なのがチューニングである。つまり、各ライダーの好みに合わせたセッティングが可能ということなのだ。

「ダイノジェット社のパワービジョンを使うと、そのセッティングは6種類も保存できますから、乗り味を選択して走行することもできます。そこまで細かい必要がないのであれば、最適なチューンングだけを選択してセッティングすることも、もちろん可能です。僕らはユーザーと必ずお話して、作業を開始します」

東西に長い静岡にチューニングできる拠点が2店舗あるHSCの存在は、普段のメンテナンスにおいてもユーザーメリットは大きいに違いない。

新たなメンバーが加わって更に業務拡張するHSC
その活動はショップを離れた場所でも展開する

森田さんは大阪出身。ディーラーメカニックや有名カスタムショップのスタッフとして腕をふるった人である。元々はシェフを目指していたが、メカニックに転身。創造する仕事という意味では共通性が高いと言う。今後はHSC静岡の顔となっていくことだろう。

チューニングルームに設置されているのは、ダイノジェット社のリターダー付き「ダイノジェット250I」というダイノマシン。完全に走行状態を再現できる優れた機械で、これがないと正確なインジェクションチューニングは不可能なのである。

これがリターダーと呼ばれる装置で、任意に負荷をかけることができる。つまり、急な坂道の状態や、向かい風での抵抗。平坦時の無負荷状態も、細かく設定できるのである。同じダイノマシンが、沼津店と静岡店の両店に設置されている。

最新エンジンのミルウォーキーエイトのチューニングでは、カムの同時交換を強く勧めるHSC。アナログチューニングも加えることで、さらにハーレーらしい力強さとエンジンの伸びを両立させられると佐々木社長は力説する。カムにも性格があり、どんなフィーリングを求めるかによって、各種選択ができる。

最新のミルウォーキーエイトの、パワーとトルクの出力を曲線で表したグラフ。青がチューニング前、赤がカム交換とインジェクションチューニングを施した曲線。スムーズで力強いエンジンになっていることが納得できるはずだ。

この秋に導入するパネルトラックには、ダイノマシンを搭載して各地のバイクイベントでデモンストレーションを行う予定だという。ハーレーだけではなく、どんなバイクでもパワーチェックできるので、会場は盛り上がることだろう(写真のデザインは暫定です)。

様々な機能アイテムやパーツをリリースしているHSCから、新たに発売するカセット型のオイルクーラー「K&PオイルクーラーS69」は、従来の物より格段に容量アップされたフィルターになって新登場。分解清掃して永年使える画期的なパーツだ。

日本で最も東西に長い静岡県を拠点にするHSCは、本店を沼津に、支店を静岡市内に置く。どちらも国道1号線(静岡店は旧道)沿いにあり、その立地は抜群。先代の頃より様々なパーツを製作し、エンジンチューニングに精通している。ハイパフォーマンスなハーレーを世に送り出し続けるこのショップは、多くのファンに支えられているのである。

写真は、静岡店のショールーム。扱う車種はハーレーだけではなく、インディアンやロードホッパー等。チューニング済みの中古車も販売する。オリジナルTシャツ等のラインナップもあり、ユーザーそれぞれのバイクライフを積極的にサポートするショップなのだ

INFORMATION

住所/静岡県沼津市大諏訪721-8
電話/055-924-0636
営業/10:00-19:00
定休/月曜日
住所/静岡県静岡市駿河区国吉田2-6-29
電話/054-208-1000
営業/10:00-19:00
定休/月曜日
バイクチューニングには欠かせないダイノルームの存在。その環境を追求したノウハウを、今後チューニングを実施する他店のためにも供給したいとのことから新しいプロジェクトを発信、そしてバイクのレンタル事業にも進出している。

HSC