イタリアのヘルメットブランドAGVが創業したのは1947年のことだ。1954年にはAGV初となるファイバーグラス帽体のハーフヘルメットを発表。1956 年からはジェットヘルメットの販売も開始して多くのGPライダー達に愛用される。そして1969 年、AGV初のフルフェイスヘルメットX3000が登場する。当初はプロライダー向けのリリースだったが、1971 年からは一般向けにも販売を始めて欧州を中心に人気を博すことになる。AGVはその後も名だたるGPライダー御用達ブランドとしての歩みを続け、現在では世界有数のスポーツヘルメットブランドとしての地位を確立している。
そんなAGVがこの夏、初のヘリテイジモデルをリリースした。それがAGVレジェンズ X3000だ。70 年代のネーミングをそのまま蘇らせたX3000は当時のモデルを忠実に復刻しているが、製品の仕様は現代的にアップデートされている。取り外して洗濯が可能な内装や効果的なベンチレーション、左手だけで開閉&ロック可能なシールド、曇り止めに絶大な効果を発揮するピンロックシールドの用意など、その中身は完全に現代のヘルメットだ。
ヘルメット選びで悩む人は多いと思う。ハーレーといえばアメリカ、だったらヘルメットもアメリカ製……こう考えるのは当然だけれど、結果的に没個性に陥りがちだったりもする。もし、いまそう感じている方がいたら新たな選択肢としてAGVをプッシュしたい。アメリカ製のハーレーにあえてAGVを合わせるという「ハズシ」で自分だけのスタイルを新たに作り上げていくのも、きっと面白いはずだ。
AGV LEGENDS X3000/SUPER AGV
◎価格:5万4,000 円(税別)
◎サイズ:M(57-58cm)/L(59cm)/XL(61-62cm)
◎カラー:全5色
X3000シリーズはツートンパターンで4色用意されている。写真はブラック・グレイとホワイト・レッド。またマットブラック単色(4 万8,000 円・税別)も用意されており、そちらはデカールカスタムやペイントベースとしても良いかも。
2017 年のミラノショーで撮影した1970年製のX3000。GPで活躍したアンヘル・ニエト(Angel Nieto)選手が使用した実物だ。こうした当時のペイントを参考にカスタムするのもアリ。
AGVを愛した名ライダー、ジャコモ・アゴスティーニ(Giacomo Agostini)のオーダーでチンガード前方には薄くエグリが入る。これは全開走行で伏せた時にタンクと干渉しないようにするための形状なのだ。
シールド左側と帽体側にはスナップボタン風のパーツを配置。シールドを下ろすとワンタッチで全閉状態に固定できるほか、チョイ開けの位置での固定も可能。開閉動作が軽く、左手だけで操作できるのも当時のレースでの使い勝手を考えた仕様だ。
シールド上端には樹脂製のグロメットが装備されている。
帽体の額部分にはベンチレーション用のスリットが設けられており、シールドのグロメットを取り外すことでベンチレーションが効くようになる。ベンチレーションから入った走行風は後頭部まで抜けるように帽体内部には導風路が設けられている。
トップパッド、チークパッドともに取り外し&洗濯が可能。70年代のビンテージ品ではこうはいかない。
ストラップはオーソドックスなDリング式だ。折り返したベルトのバタつきを抑えるスナップボタンにはAGVの刻印が入るほか、ストラップにはイタリア国旗もあしらわれる。
内装の肌に触れる部分は柔らかいファブリックを使用しているが、パーツ端部には質感の高い皮革を使用している。
トップパッドには刺繍でロゴが入る。また、内装自体はアジアンフィットと呼ばれる仕様で日本人の頭にもしっかりフィットしてくれる。
AGV LEGEMDS X70
◎価格:3万円~3万3,000円(税別)
◎サイズ:X3000と同様
X3000と同時にジェットヘルメットも復刻。ちなみに60 年代後半から70 年代にかけてベネリやアエルマッキ・ハーレーのワークスライダーとしてGPで活躍したレンツォ・パゾリーニ(Renzo Pasolini)はこのジェットヘルメットを愛用したライダーだった。
AGV LEGENDS HELMET BAG
◎価格:1万円(税別)
ジャコモ・アゴスティーニが現役当時愛用していた特注ヘルメットバッグも復刻。内装はファブリックでヘルメットに傷がつかない仕様だ。もちろん、X3000が収納可能。