数多くのカスタムパーツをリリースしている『KEN TEC(ケンテック)』だが、今回紹介する2in1マフラーには特別の思い入れがある。代表の吉岡健一さんは、ショップの立ち上げ当初から、集合マフラーの性能に注目していた人だった。
ケンテック代表の吉岡健一さん。カスタムパーツのリリースはハーレー用だけではなく、国産アメリカンバイク用も数多くリリースしている。ショップオリジナルパーツを駆使し、ワンオフ加工も得意なカスタムショップとして長年活動を続け、そのほとんどの作業を国内の職人に委ねるというポリシーを持っている。
「排気には脈動というのがあって、それぞれ独立した排気システムよりも、集合させたほうが効率良いという効果があります。クルマはもちろんエキゾーストパイプを集合させますし、バイクのマルチエンジンも同様です。だから2気筒のハーレーや国産アメリカンバイクも同じ原理が働きます」
ノーマルマフラーをよく観察すると、一見独立管に見えるマフラーでも、見えにくい部分で必ず連結されているものなのだ。それは、国産車も輸入車も共通である。
「リプレイスメントマフラーは、もちろんルックスにおいてカスタマイズされることが重要ですが、性能が低下するのでは大きな問題ですよね。だからウチのマフラーは、必ずパワーもトルクもアップするように設計されています」
ショップは東京都の環八沿い。赤羽駅からほど近い場所にあり、マンションの1階フロアをショールームとしている。作業スペースは他に確保して、ショールームには、様々なアルミビレットパーツやマフラーが展示されている。
クロームメッキされた外観も美しいが、純国産にこだわり、メッキ工程以前に磨きの行程を徹底することで、最高の仕上がりをキープしているのだという。その他、バンク角を確保するために極限まで車体に沿わせた形状であることや、繋ぎ目のスムージング処理など、随所にこだわりを見せるマフラー製作となっているのだ。
20年以上の製作キャリアがあり、ノウハウが詰め込まれた2in1マフラー。ハーレー用は、エボリューションエンジン以降のソフテイルやダイナ用として8種類。スポーツスター用は4種類のラインナップを揃えている。
2004年モデルのFXDLダイナローライダーに装着されているのは、ローライダー2in1マフラー。1978年に発表された初代ローライダーに標準装備されていたマフラーのレプリカバージョンでもある。
マフラー全長は長く、リアホイールの後端付近まで伸び、先端はスラッシュカットされている。素材はスチールで、磨き行程を経てクロームメッキされた高級感が大きな魅力だ。
マフラーを懸架するステーは、オリジナル製作されたもの。ノーマルステーよりも強度アップが図られた三角構造となっているのが特徴である。
エキゾーストパイプとマフラーの接合部は、ダイナモデル用のみ貫通ボルトで固定する方法を用いる。外観からは確認できないように配慮しているところも、ケンテックのこだわりである。ソフテイル用は、差し込むだけで問題ない。
2008年モデルのFXCWソフテイルロッカーがベースのカスタム。クラシカルなスプリンガーフォークと、極太ブラスチップ2in1マフラーの装着で、個性的に仕上がっている。
エキゾーストパイプとマフラー、そして真鍮製のエンドピースという3ピース構造のマフラー。エキゾーストパイプの集合部分を前方に配置して、比較的全長の短い仕上がりになっている。
素材はスチールで、美しく弧を描くエキゾーストパイプが特徴。前後のパイプ長を極力近付けて排気効率を上げる、2in1ならではのルックスが個性的だ。
真鍮製のエンドピース内には、取り外し可能な消音バッフルが内蔵され、追加のステンレスウールで音量を調節できる。別売りでさらにサイレントなバッフルもある。