タンク製作の流れを汲む形で、いよいよシートのワンオフ製作へと着手していく。繰り返しになるが、ヒデモのカスタムプランにおける生命線とも言えるのが「車体が描く全体のスタイリング」であり、タンクからシート、リアエンドへと流れるアールをいかに美しく形成するか、ここが同ショップのカスタムのキモなのだ。
そしてシートのおおよそのイメージが固まればシート専門ショップに依頼して製作していくわけだが、ここまで来ると本格的にカスタムにおけるデザイン構成へと入っていく。果たして今回ヒデモが手がけるスポーツスターはどんな姿でお目見えするのか。今回は完成の一歩手前、全体のグラフィックへの着手段階までお見せする。
繰り返しになってしまいますが、まずは車体をローダウンさせ、タンク⇒シート⇒リアエンドというラインに手を加えていくことで、スポーツスター本来のアールの美しさを前面に押し出すことが特色だと思っています。ですので前回と読み比べると、主旨の部分は変わっていません。逆に言えば、ここへの手の入れ方がキチっとしていれば、カスタムのバリエーションはいろいろあるので、好みのスタイルへと変えていくことができるのです。
今回オーナーのN.K さんからの要望にあったとおり、タンデム仕様のシート作成となります。ただ、カラーでもあるリアエンドのショートカットは不可欠ですから、ショート化したリアフェンダーの迫力を損ねないシートを手がけなければなりません。実際の製作作業は職人に依頼するのでその詳細をお届けすることはできませんが、ここで大事なのは“オーナーの要望を汲み取ったビルダーのイメージ力”です。要望を満たしつつ、美しいスタイリングにまとめるセンス……。ハイセンスが要求されるところですので、今回もめいっぱいアタマをひねってみようと思います。
シート製作や外装ペイントに関しては、実際の作業はそれぞれウデの良い専門のプロショップに依頼しますので、今回はここまでです。ただ、ここまで来たら完成まであと少しです。これからオーナーの意向やライフスタイルを想像しつつ、「こうしたら愉しく乗り続けてもらえるだろうな」という微調整を施していきます。それはハンドルバーの製作からフロントフォークのセッティング、グリップのチョイスに至るまですべて、です。
いよいよ完成の日を迎えるこのスポーツスター、その姿は僕らでさえ出来上がってしまうまで分かりません。だからこそカスタムは面白いんです……って、シメはまだ早いですね(笑)。それでは次回、皆さん楽しみに見に来てくださいね。