「Virgin Harley」の読者で、ミーティングに行く方はどれほどいるのだろう。私もそう行く方ではないが、暖かくなると年に数回はミーティングに遊びに出かける。今回ご紹介するいばちゃんに出会ったのもミーティング会場だった。どこのミーティングに出かけても、ほぼ間違いなくいばちゃんに出会う。気がつけばミーティングに行けば、いばちゃんを探すようになる始末。ミーティングにはなかなか足を運ばないハーレー乗りもいる中で、いばちゃんはなぜ毎週のようにミーティングに出かけるのか、その魅力をお聞きしたく、いばちゃんに話を伺った。
いばちゃん●今のFXST が初めてのハーレーです。ハーレーに乗り始めたのは4年くらい前で、それほどハーレー歴は長くありません。
いばちゃん●バイクには10代の終わりからずっと乗っていて、大型二輪免許を取ろうとしたことはありました。でも、当時は教習所で免許は取れない時代でした。飛び込み試験をなかなかパスできずにずっと中型ばかりに乗っていたんですよ。ハーレーに乗る前は、バイクは通勤で使うことがほとんどでツーリングは滅多にすることもなく「どうしても大型二輪を」というわけではなかったので、それほど熱心にバイクに乗っていたわけじゃなかったんです。
いばちゃん●車は雨の日くらいにしか乗らず、バイクの方が性に合っていたのは確かです。でも仕事帰りに遠回りして走って帰るようなこともなく、1台のバイクに長く乗ることもありませんでした。だいたい車検ごとに乗り換える、ごく普通のバイク乗りだったんですよ。
いばちゃん●近くのディーラーが、自動車学校で行った試乗会にふらりと遊びに行ったのがきっかけです。「ハーレーは重くて乗りづらい」そんなイメージを持っていたのですが、試乗してみると意外に乗りやすい。それがきっかけでフルローンで今のFXSTを手に入れたんです。
いばちゃん●今でこそもう原型はありませんが、当時はハーレーというとFXのイメージだったんです。購入前はハーレーがこれほどカスタムできるバイクだと知らなかったので、ノーマルで一番理想に近いスタイルのモノを選んだつもりでした。手に入れて半年くらいは、ちょこちょことしたカスタムして楽しんでましたね。
いばちゃん●「長年憧れて、お金を貯めてついに手に入れた」わけではなかったので、実はそれほどの感慨はありませんでした。頭金無しのフルローンでしたしね(笑)。「バイクを買い換えたのが、たまたまハーレーだった」。ハーレーとはそんな出会いでしたよ。
いばちゃん●そうですね。ハーレーに乗り始めてから1年くらいは近所をハーレーで流す程度で、ロングツーリング、ましてやミーティングなんて行こうと思ったこともありませんでした。ただ、ショップで顔馴染みだった人が「今週は○○へ行ってきた」、「来週は○○へ行く」と毎週のように話してくれて「四国でミーティングがあるからおいで」と誘われ、初めてのミーティングに足を運ぶことになりました。
いばちゃん●雑誌でミーティングの記事は見たことはありました。でも「ハーレー乗りがたくさん集まる集会なんだろう」程度の理解しかありませんでしたね。実は初めてのミーティングにはあまり期待していなかったんですよ。「面白くなかったら日帰りで帰ればいい」そう考えていましたから。
いばちゃん●初めは出展ブースの数の多さですね。なかなか見かけることのない濃い品揃えのショップが、ずらりと並んでいる。お店を冷やかしながらブラブラするだけでも充分に楽しめました。僕をミーティングに誘ってくれた人がキャンプサイトで仲間も紹介してくれ、お茶もご馳走になり、描いていたミーティングのイメージが覆されました。日帰りで帰ろうと思っていて何も準備してきていなかったので、結局初めてのミーティングはテントも寝袋も無しで会場内で野宿することに(笑)。ミーティングの魅力の一端をそこで知り、その翌週も別のミーティングに顔を出してみることにしました。
いばちゃん●初ミーティングは大規模なものでしたが、翌週のはこじんまりとしたミーティングで。大きなものから小さなものまで、いろんな規模のミーティングがあるのを知りました。規模が小さいミーティングでしたが、声をかけてもらって話をする機会は多く、こちらも楽しい時間を過ごせました。これを機に本格的にミーティングを楽しむようになり、キャンプ道具も徐々に揃えていくようになったんです。
いばちゃん●最初に僕をミーティングに誘ってくれた人に連れて行ってもらっていました。現地で「ミーティング新人のいばちゃん」と周りに紹介してくれて、知り合いもいなかった僕にミーティングの楽しみ方を教えてくれたんですよ。いきなり一人で行ってミーティングを満喫できる人もいるでしょうけれど、ミーティングに慣れた仲間がいなかったら…馴染むまでちょっと時間がかかったかもしれません。あちこちのミーティングに顔を出し、初対面の人と一晩を過ごすうちに顔馴染みも増えていきました。最近はソロでミーティングで出かけ、現地で仲間と合流みたいな楽しみ方もできるようになりましたね。
いばちゃん●テントを張らせてもらった周りの人に挨拶をしたり、食事を作ったらお裾分けをしたり、そんな形で話相手もできることがあります。でも、団体で来ている人から声をかけてあげないとなかなか話すきっかけはないかもしれませんねぇ。初めから無理にテント泊をしようとせず、慣れるまでは日帰りで出展ブースを冷やかすだけでもいいと思いますけれど。もちろん、会場で一泊をする方が楽しいと僕は思いますが、会場まで走ることを楽しんでそのゴールが会場というのもアリでしょう。
いばちゃん●昼間もたくさんの人に出会えますが、やはり夜に知り合った人と話をすると関係が深まります。出会ったばかりの相手でも、一晩同じテントサイトで語り明かすと特別なものになるんですよね。そうやって知り合った仲間が少しずつ増えていくと、ソロでミーティングに出かけても楽しい夜を過ごすことができるようになるんですよ。暖かくなると毎週のようにミーティングに足を運び、年間で100人近い人と知り合えます。こんなにたくさんの人と知り合う機会なんてミーティング以外ではなかなかありません。ミーティングの名の通り、たくさんの人と「Meet」できるのがミーティングの魅力です。
いばちゃん●バイカーはだいたい名刺を持っていますからね。顔写真や乗っているバイクの写真が入っているものもあります。別に名刺がなくても、一晩じっくり話をした相手のことは覚えられますけれど(笑)。ただ、不思議なのはバイクを通じて知り合う人はお互いの本名も職業も知らないことが多い。どこに住んでいるのかも大雑把にしか知らない。バイカーネームと何に乗っているのか、それで充分なんですよね。大人になると仕事を通じての知り合いが中心になりますが、趣味を通じて仲間ができる「場」がミーティング会場にはあります。
いばちゃん●出会いと再会。僕がミーティングに足を運ぶ大きな理由はそこでしょうね。出展ブースもイベントも楽しませてもらっていますが、それがメインではない。これからミーティングに足を運ぼうとしている人はぜひ「出会いと再会」を楽しんで欲しいです。ミーティングに行って「楽しませてもらおう」と受身の姿勢でいると何度かミーティングに行けば飽きてしまうでしょう。積極的に人と交われば、ミーティングは面白いですよ。
いばちゃん●ミーティングに慣れてくると「ワシは食材を買っていくから、オマエは調理器具ね」と分担して楽をすることができます。仲間とワイワイやるのはいいものです。実は僕はお酒は飲めないんですが、仲間たちが飲んでいるのを見ているだけでも楽しさが伝染ってきますよ。
いばちゃん●このバイクで、この格好でミーティングに行き始め、ハーレーがもっと好きになりました。もしミーティングの魅力にハマっていなかったら…今は別のバイクに乗り換えていたかもしれません。これまで車検を通したバイクなんて1台もなかったのに、今もまだこのバイクに乗っている。その理由の1つには間違いなくミーティングがありますね。こうやって僕たちがミーティングを楽しめるのは、準備や当日に動いてくれているスタッフがいるから。笑顔で出迎えて、送り出してくれるミーティングのスタッフの方々には本当に感謝しています。
いばちゃんは関西人だけれど、ベラベラと話すタイプではない。ゆっくりと話をする、どちらかというと控え目なタイプだ。ミーティングはハーレー乗りのパーティーのようなイメージもあるけれど、実際にはミーティングの夜更けは想像以上に静かなもの。大騒ぎする集団など思ったほどでもない。静かな夜の中、あちこちから笑い声が聞こえてくるミーティング会場の夜更け。一度は体験してみてはいかがだろうか(ターミー)。