こんにちは、お笑いコンビ「LLR」の伊藤智博です。ハーレーカスタム紹介でも掲載していただきましたが、今スポーツスター・アイアン883に乗っています。カスタムも着々と進んできて、自分好みの一台になってきました。
そんな中で、ひとつ悩みとして出てきたのが腰痛です。
ドラッグバー仕様にしたことで腕のポジションがグッと前になり、結果的に腰を痛める姿勢になってしまったのかなぁ、と思っています。
ハンドルバーを元のニュートラルなものに戻すべきか、それ以外に解決策があるのか、プロの意見を仰いでみるべく日ごろからお世話になっているハーレーダビッドソン新宿にお邪魔しました。
お話を伺ったのは、ハーレーダビッドソン新宿でセールスを担当する森山典広さん。僕のバイクのことをいつも気にかけてくれています。
伊藤「最近バイクに乗っていると腰が痛くなってくるんです。これってハンドルバーの影響ですかね」
森山「そうですね……ドラッグバーにすると、どうしてもポジションがタイトになってしまうので、その可能性は否めません」
伊藤「解決策って、ハンドルバーを元に戻すことでしょうか?」
森山「もうひとつ、シートの交換というのも検討してはどうでしょうか」
え? シートの交換?
シート交換は今後のカスタムメニューとして考えていたことのひとつですが、どちらかと言えばビジュアル面での変更というイメージが強かったです。
森山さんによると、「ハーレーのシート交換というと確かにビジュアル面の要素が多く含まれるけど、ライダーの体を支える重要な部位なので、ここの仕様で乗り心地が大きく変わるんです」と。それも、シートそのものの構造やシート内に使われている素材など、オーナーの乗り方に合った組み合わせのものを手に入れるのがベストだと言います。
現在装着しているシートは、ハーレー純正の「バッドランダー」というもの。もしかしたら、伊藤智博 + ドラッグバーという組み合わせに向いているシートがあるのかもしれない!
そこで思い出したのが、「国産メーカーのシート」という選択肢。「股間部分が幅広い海外メーカー製と異なり、国産メーカーのシートは日本人の体型を考慮した足つきに優れる細身の構造が特徴的なんです。表皮はもちろん中の素材にもこだわっているので、機会があれば試してみてはいかがでしょう」というライターの田中宏亮さんの言葉を思い出しました。
そんな折り、大阪のカスタムショップ「トランプサイクル」がハーレー正規ディーラー向けに自社制作シートの貸し出しをしていると伺い、気になるシートを早速お借りすることに。
1, タンデム(二人乗り)ができること
2, ドラッグバーとの相性が良くなるハイポジションのもの
この条件のもと、3つのシートをお借りしました!
選んだのは(左から)「ネオカフェシート」「キング&クイーンシート」「セミダブルシート」の3点。それぞれ跨ってみました!
実は一番気になっていたシートのひとつで、トランプサイクルのFacebookページで、代表の長岡守さんに直接「これってタンデムできますか?」って聞いちゃったほどでした。
▲装着したスタイリング
実際の装着スタイルはダントツでカッコいいです!このシートが似合うようなバイクにしなきゃなぁ、って逆にプレッシャーをかけられているよう(笑)。
▲真上から見た模様
▲ライディングポジションの確認
シート後部が決まっているので、しっかり体をホールドしてくれるという印象。さらにシート表面の素材が滑り止め仕様になっているので、走行時の体のズレを防いでくれることは間違いありませんね。
今回お借りしたのが「スタンダードタイプ」で、もうひとつバックステップとの組み合わせを前提に制作されたシート高が約10ミリも高くなる「ハイモデル」なるシートもあるそう。足つきが問題なく、ミッドコントロールステップでも相性が良さそうなので、ドラッグバーをそのまま使うのであればこのハイモデルでの組み合わせも検討して良さそうだと感じました。
一番自分のアイアンに似合いそうだな、と思っていたのがこちらの「キング&クイーン」。名前がいいですよね! タンデムにはうってつけのデザインとスタイルです。
▲装着したスタイリング
真横から見たフォルムも、なかなかどうして。ちょっとチョッパーバイク感が強まった気、しませんか?
▲真上から見た模様
▲ライディングポジションの確認
フィッティングは言うことなし。こちらもしっかりホールドしてくれる設計なのが嬉しいところ。シート高はネオカフェシートほどではないので、やはり体が前のめり気味になりますね。腰痛解消という主目的を考えると、もう少し高さが欲しいところ……?
でも、せっかくのスタイリングに手を加えると、ビジュアルそのものが大きく変わってしまうのでそれはもったいない。一方、3種類のなかでもっともパッセンジャー(同乗者)に快適性をもたらすシートであることは明確なので、これは実に悩ましいっ……!
比較的シート高があり、それでいてパッセンジャーも乗せられる? と思えた「セミダブルシート」もお借りしました。「コブラシート」なるアイテムも気になっていたのですが、このデザインで高さを体感したかったので、今回はセミダブルというチョイスに。
▲装着したスタイリング
おー、なるほど。こういうシルエットになりますか……。「キング&クイーン」ほどではないかもしれませんが、背もたれと組み合わせれば、パッセンジャーも十分乗っていられるのでは? と思えました。背もたれなしだと……ちょっと辛そうですね(笑)。
▲真上から見た模様
▲ライディングポジションの確認
前出のシート2つよりは体重移動がしやすそうなポジション。厚みもしっかりあり、なおかつゲル入りということで、柔らかくもほど良い低反発感が心地よいシートでした。あ、ほかの2つもゲル入りとのことなので、その点はいずれも共通ですね。
個人的には光沢あるレザー一枚で編み上げられたものが好きなので、キング&クイーン同様に感触やデザインはかなり気に入りました。サスペンションをオーリンズにチェンジしているので、この柔らかい感触で実際に走るとどうなんだろう……という思いはありましたね。
3タイプを通じて残った共通の印象は、「柔らかい座り心地」「足がストンと真下に降りてくれる」ということでした。森山さん曰く、「それが国産シートの特徴です」とのこと。
森山「股間部分が細身に作られているので、またがった際に両足がまっすぐ降りてくれることが国産シートの特徴です。日本人ならではのきめ細やかさが産んだ繊細なディテールとも言えますね。このあたりは体型によって合う・合わないがあるので、海外シートともセットでいろいろ試してみられるのが一番だと思います」
この企画まで、僕のなかには今使っているバッドランダーシートのみでシートの良し悪しを判断していた部分がありました。が、異なるメーカーの異なるタイプをいくつも試せたことで、「この部分をもっとこうしたら、自分に合うかも」といったイメージがどんどん湧いてくるようになったんです。もちろんハーレーですから、どこかしら乗り心地を犠牲にしてでもビジュアルを優先したいという想いもあります。
どこで折り合いをつけるか、そのためにはいろんなシートを試さなくては!
シートひとつの単価を見ると、おいそれと手を出せる価格じゃありませんよね。だからこそ、いろんなパターンや特徴を学んだうえで、自分に合ったシートを見つけ出したい。スポーツスター用のシート探しが一気に楽しくなってきました!
では!