取材協力/パフォーマンスブラザーズ 文/佐賀山敏行 写真/増井貴光、VIRGIN-HARLEY.com編集部
掲載日/2013年4月30日
通常のバイクをベースに、後輪を2輪化して3輪にしたのがトライクだ。停車時でも転倒することのない高い安定性に加え、普通自動車免許で乗れることから、いま、非常に高い人気を博している。
ベースとなるモデルはじつにさまざまだが、ハーレーもまた人気のジャンルである。その理由はやはり、威風堂々としたスタイリングがトライクと抜群の相性を見せるからであろう。
実際、これまで数多くのトライクカスタムを手がけてきたパフォーマンスブラザーズでも、その人気の高まりを実感しているという。代表の高橋直之氏は言う。
「数年前に比べると、いまはお客さんの知識も豊富。つまりそれだけ意識が高いということ。
トライク人気は確実に伸びていますよ!」
横浜市に拠点を置くパフォーマンスブラザーズの代表・高橋直之氏は、ジープやランドクルーザーを扱う四駆カスタムショップを経て、1999年に独立。今ではオリジナルのトライクキット販売やハーレーベースのトライクカスタムなどを手がけるが、その転機は中国からバギーを輸入したことがキッカケだったという。
「輸入して売ろうとしたけど、とにかく作りが悪かった。フレームは細くてサビサビで、ボルトもナットも緩い。そこでリビルドしなければいけなかった」
以前勤めていたショップでは自身で開発したカスタムパーツが評判で、すでに高い技術とセンスを発揮していた高橋氏。バギーのほかにも 50cc のミニチョッパーも輸入し、これまで培った技術を活かしてリビルド、販売したという。
しかし、これらは2人乗りができないし、遅い。そこで次に高橋氏が目をつけたのがトライクだった。中国製のトルネード 250 というアメリカンタイプのトライクを輸入したのが、今から約8年前のことだ。
「もちろん作りはひどかったので、リビルドしました。そしたらそれが好評で、次にスカイウェイブ 250 用トライクキットを輸入したんです。だけど、これが全然ダメ(笑)。デフもホーシングもドライブシャフトも、リビルドどころのレベルじゃない。結局自分たちで世界に通用する日本製を全部作ろうということになったんです。」
こうして2年以上をかけて作り上げたのが、同社オリジナルトライクキット「Boltoora (ボルトーラ)」シリーズである。今では適合車種は国産ビッグスクーターをはじめ、ドラッグスター 250 などのアメリカンモデル、そして最近では PCX など原付二種スクーターも開発、そのラインナップは 20 車種にもおよぶなど、多くの支持を集めている。
そんな同社製品の最大の魅力は「高品質」であること。例えばドライブシャフトなどはメーカー純正とまったく同じクリアランスで仕上げ、液体ガスケットは使わずに専用Oリングを使用。キットはすべて専用設計となっており、100% 国内製造。試作品も下請け工場ではなく、自社で作っているのだ。
そこまで品質にこだわるのは、高橋氏がなによりも「安全性」を重視しているから。四駆カスタムショップ時代から数多くの粗悪品や違法カスタムを見てきた同氏は「このままでは日本からカスタムはなくなってしまう」と危機感を抱いていたという。
「我が社のトライクはすべて公認取得済み。トライクユニットは4万kmもしくは4年間 (※125cc スクーターは2万km/2年間)、ベースバイクは1万kmもしくは1年間の保証付きです。カスタムでよく言われる『乗り方が悪いからすぐ壊れる』というのは、言い訳にもならない。『日本製』を謳うなら、それではダメなんです」
そのコダワリは、近年力を入れているハーレーにも通じている。同社のハーレートライクにはアメリカ製の「チャンピオトライク」と「ミステリーデザイン」が採用されているのだが、ただ取り付けるのではなく、必ず各部にモディファイを加える。つまり、耐久性を大きく向上させているのだ。
「自社製品はもちろん、ハーレートライクに関しても、僕らは日本人のお客さんが納得するものを作らなければならないし、世界に出しても恥ずかしくないものを作りたいんです」
メイドインジャパンへの絶対的な自信と誇り……。高橋氏の言葉からは確かにそれを力強く感じることができた。
幼少時から機械好きで乗り物好き、廃棄されたスクーターのエンジンを持って帰って分解していたという高橋氏。中学生でモトクロスを経験し、自動車整備学校を経て四駆カスタムショップで働くなど、まさに“この道”一筋。
住所/ | 神奈川県横浜市都筑区 長坂2-4 |
---|---|
Tel/ | 045-948-5337 |
営業/ | [火曜~土曜] 9:00~19:00 [日曜]10:00~19:00 |
定休/ | 月曜 >> ウェブサイト |