VIRGIN HARLEY | ハーレー用エアクリーナー タイフーンの実力を検証! 特集記事&最新情報


数年前に発表され、現在カスタムハーレーやチョッパーへの装着率が上がっている注目のエアークリーナーユニット、それがタイフーンである。
ルックスもクールだが、確実な性能アップが報告されて以来、評判は上々だ。
今回は、実際にノーマルとの比較試乗の機会を得て、徹底的に検証してみた。

タイフーン装着車両をインプレッション

生みだされた背景と開発秘話
デチューンしないための形とは……

小型で高性能。吸気効率の高いエアクリーナーユニットとして高評価を獲得しているタイフーン。そんなスペシャルパーツを開発し、製造販売しているのがジャパンドラッグである。代表の小川 泰良さん自身が開発したユニットは、今、驚異のエアークリーナーとして注目を集めている。まずは、その小川さんから話を聞いてみた。

 

「実は、発想の原点は“ノーマルよりデチューンしないこと”というものでした。今までにも効率の良いハイフローエアクリーナーはありますが、チョッパーや旧車に取り付けるには少し大きいんですよ。だからみんな小型のユニットを装着する。すると空気を吸わないわけです。大昔の、パワーがそこそこのハーレーならまだいいけど、ショベル以降、ましてや現行エンジンやチューニングエンジンじゃ、まったく性能を発揮できなくなる。それが大きな不満だったので、タイフーンはコンパクトな形で生み出されたのです」

 

内部の構造がトルネード型になっているのは、空気の流れを一定に整えて流速を上げるため。たとえば、ペットボトルの水を抜くのに、そのままボトルを逆さまにするより、回転させて流すと凄まじい効率で水が抜けていくのだが、それと同じ原理で考えたものだという。タイフーンという名前は、北半球で発生した台風の回転方向を意識したもの。実は、内部のねじり方向に、命名された理由があったのである。

 

アルミの塊から削り出して製作されるクリーナーボックス。型抜きの成形ものでは到底真似できない精度で、その美しさは工芸品のようでもあるが、空気の流速を徹底的に研究し、形状を作り上げたものなのだ。そして、エアクリーナーエレメントもまた、空気抵抗を極力少なくしたスポンジを使用して、高性能化を実現した。それがタイフーン。実にユニークなユニットである。

 

生みだされた背景と開発秘話
デチューンしないための形とは……

試乗させていただくのは、千葉県にあるネオガレージにて用意されたスポーツスター XL883。エンジンがリジットマウント時代のモデルである。マフラーがサンダーヘッダーに変更されていること以外はノーマル。エンジンもキャブレターもエアクリーナーユニットもストックのままという一台だ。

 

スタートすると、少し懐かしいスポーツスターの味わい。883はパワフルなイメージはなく、スムーズで扱いやすいエンジンである。マフラーの変更に合わせて、キャブのミクスチュアースクリューのみ調整を済ませた状態なので、とても良いバランスに仕上がっている。リジットマウントゆえに振動がダイレクトだが、不快感はない。ただしトルクの盛り上がり感に欠けるエンジン特性であることは仕方がないところだ。だから当時のライダーは、皆ボアアップした1200ccエンジンに憧れたものだった。

 

ノーマルをしばらく味わった後、タイフーンユニットと交換。その作業は実に手早く、ほんの数分で作業は終了した。各モデルに対応するアタッチメントのため、取り付け作業がスムーズなのだ。製品の精度も、とても高い優秀なユニットである。

 

エンジンを始動して走り出すと、その瞬間から違いを実感できる。あきらかにパワフルなのだ。そしてアクセルレスポンスが格段に良い。これには思わず「おぉ!」と声が出た。キャブレターはノーマルのCVだが、アクセルの開度に極めてリニアに反応する。言い過ぎと思われるだろうが、ハイレスポンスのレーシングキャブのようなイメージが加味されたのだ。それでいて、巡航速度になるとコンスタントスロットルでのギクシャク感は皆無で、CVキャブレター本来の扱いやすさは充分残っている。つまりライダーは、新たなパワーフィーリングを実感しながら走ることができるようになったのだ。

 

883エンジンの特徴である“扱いやすい柔らかなエンジン回転”は、さらにフィーリングを向上させてスムーズなことこの上ない。これなら、エンジンボアアップやレーシングキャブ装着の必要性はあまり感じない。いや、さらに他のチューニングを加えると、また新たなパワーフィーリングを獲得できるというメリットも生まれるだろう。そこもまた違う楽しみでもあるはずだ。

 

インジェクションモデルならば、ぜひこのタイフーンとインジェクションチューニングをセットで考えると、より楽しいエンジンになると思われる。つまりタイフーンは、どの年式のハーレーでも一律にパワー&トルクフィーリングを向上させる、驚異のユニットである――と言えそうだ。

リジッドマウントのスポーツスター XL883に装着。ビジュアルはご覧のとおり、そのコンパクトなスタイルにベストマッチ。

リジッドマウントのスポーツスター XL883に装着。ビジュアルはご覧のとおり、そのコンパクトなスタイルにベストマッチ。

  • ノーマルとタイフーン、それぞれで乗り比べてみた。結果は明白、ただ付け替えるだけでこれだけの効果を味わえるとは、想像以上の性能に驚くばかりだった。

    ノーマルとタイフーン、それぞれで乗り比べてみた。結果は明白、ただ付け替えるだけでこれだけの効果を味わえるとは、想像以上の性能に驚くばかりだった。

  • 取り付けはカンタン、手馴れているショップなら数分程度の作業。分かりやすい解説書が付いているので、自身で取り付けても30分とかかるまい。

    取り付けはカンタン、手馴れているショップなら数分程度の作業。分かりやすい解説書が付いているので、自身で取り付けても30分とかかるまい。

タイフーンファンネルのワンセットがこちら。ショップのメカニックなら15分ほどで交換可能。工具があれば、一般の人でも30分ほどで取り替え可能なほどの構造。

タイフーンファンネルのワンセットがこちら。ショップのメカニックなら15分ほどで交換可能。工具があれば、一般の人でも30分ほどで取り替え可能なほどの構造。

もはや工芸品のレベルと言っていいパーツ群。ただ交換するだけで驚くほどの効果を体感できる驚異のアイテムである。

もはや工芸品のレベルと言っていいパーツ群。ただ交換するだけで驚くほどの効果を体感できる驚異のアイテムである。

 

  • インプレッションライダー
    モリヤン

    雑誌およびウェブのVIRGIN HARLEYにて多くの記事を手がけるフリーライター。取材、執筆、写真撮影となんでもこなすマルチロールな御仁で、ハーレーについて造詣が深い。以前はサンダンス チューンドスポーツスターに20万キロ以上乗り、その後2台のFLHと述べ走行距離が12万キロ以上に達するという、走ってナンボのライター&カメラマン。雑誌 HOTBIKE Japan にて長年連載記事を担当する、メカにもうるさいご意見番。

【検証】 シャーシダイナモでノーマルとタイフーンのパワーチェック

車両/2013年式 スポーツスター XL1200V セブンティーツー

 

正規ディーラー ハーレーダビッドソン シティ川越のシャーシダイナモを用いて、ノーマルエアクリーナーとタイフーンファンネルのパワー比がどれほどのものなのか、実際にチェックしてみた。マフラーはノーマル、インジェクションチューニングも施していない同車両でそれぞれチェックしてみたところ、ノーマルエアクリーナーは44馬力、タイフーンファンネルだと54馬力という数値に。ただエアクリーナーを交換しただけでこれほどのパワー差が出るとは、現場でその模様を見た関係者も驚きを隠せなかった。

青いラインがノーマルエアクリーナー、赤いラインがタイフーンファンネルのパワーカーブを表したもの。最大値のところで10馬力近く差が出ていることがお分かりいただけるだろうか。

 

カスタムビルダーに聞く タイフーンの実力

  • 実際のフィーリングが
    数字でも現れて驚いた

    ノーマルのエアクリーナーは目が細かい紙製だから、最高出力が上がることはわかっていましたが、ダイノマシンでのテストで、低回転から全域数字が上がったのは正直驚きました。実際に乗っても、数字上のパワーアップと同じ実感がある。なにより扱いやすいことが大きなメリットでしょうね。どの年式のモデルにも対応している製品群も驚きですよ。だから誰にでも勧められます。

  • 製品精度に感動する
    価値のあるパーツ

    とにかくラインナップが豊富で、さまざまなテイストのハーレーにマッチングすることがスゴいですね。しかもほとんど何も改造することなく、簡単に取り付けられる。ウチのお客さんは、バイクを買い換えても、タイフーンはそのまま愛用し続けるというユーザーが多いですね。それぐらい魅力あふれるパーツということです。工作精度の高い工芸品のようでもあると思いますね。

  • チョッパーにも粋な
    高性能ユニットですよ

    大きなエアクリーナーボックスは、ライディングの邪魔になるし、デザインの上でもNGです。特にチョッパーはね。でもやっぱり高性能というか、デチューンしないユニットが欲しかった。だからデザインは、新型のハーレーからビンテージまで似合うように数多くラインナップしたんです。一番の人気はブラックのフィンタイプですね。現行車での装着率は、とても高いですよ。

BRAND INFORMATION

JAPAN DRAG CUSTOMCYCLES

埼玉・川越に居を構える老舗のハーレーダビッドソン専門カスタムショップ。近年は米クリーブランド社製モーターサイクル「ヘイスト」の輸入販売やカスタムバイク&オールドアメリカンの大イベント 小江戸フリージャムの運営など、幅広く活動している。中でも今回紹介したエアクリーナーシステム「タイフーンファンネル」は同ショップの代名詞とも言える存在として、業界内でも広く知られている。

住所/埼玉県川越市南大塚880-1
電話/049-246-3528
ファックス/049-241-9244
営業時間/[平日] 10:30~19:30 [日・祝] 10:30~18:00
定休/土曜
ウェブサイト:http://www.japan-drag.com/