オートバイの基本に立ち返り「走る/曲がる/止まる」という3つの要素を煮詰め直したFL。長年のレース活動で得た一国サイクルワークスのノウハウが注ぎ込まれた同店のデモ車両である。
105周年モデルのTC96モーターにSE製ビッグボアキットを組み込み排気量は103ciとされ、ローエンドトルク重視の255カムをインストール。イグニッションシステムには同じくSE製スーパーチューナー、さらにBMCエアクリーナーにワンオフカバーをセット。ニッケルブラックメッキが施されたストックマフラーに、ワンオフ製2in1エキパイが装着されている。
足周りには前後16インチのミスミ製風神ホイールに、フロントにはオリジナルのナインハーフブレーキキット&ブレンボキャリパーを装着。制動力アップはもちろんのこと、バネ下重量の軽減が図られている。リアキャリパーにはブレンボ製ラジアル4POTをワンオフサポートを介して装着。スプリング&オイルが見直されロワードされたフロントフォーク、リアショックにはオーリンズ36Eがセットされている。低回転域から澱みなく湧き上がる豊かなトルクに、赤い旋回性能と確かなストッピングパワー。まさにコンセプト通りの車両であり、まるでチューニングされたダイナのようなテイストが与えられている。
スタイリングにもこだわりを凝縮。この車両の見せ場はリアエンドに尽きる。滑らかなラウンドタイプのFLHRS用サドルバッグをモディファイし、さらにFLHX用フィラーストリップキットにウインカーを配し、ストックモデルさながらの完成度に仕上げられている。金属感を全面に押し出したチタンシルバーベースのカスタムペイントはアザーサイド&シェイキンの仕事。あえてミニマルなデザインを採用し、特徴的なリアエンドからの眺めには気品さえ漂う。高い次元での「走り」と「スタイリング」の両立。このFLに死角は見当たらない。