2008年の春~夏にかけて急騰を見せたガソリン価格。車に比べて燃費がいいとは言え、我々バイク乗りの財布にも少なからず影響を与えたことだろう。現在は一時に比べて落ち着きを見せているガソリン価格だが、なぜこのようなことが起こったのか。それを探るために、過去のガソリン価格の推移と今後予測される影響について調べてみた。
2008年8月、ハイオクガソリンの全国平均価格は196円を記録した。2000年前後には100円台後半から110円台前半だったものが、ほぼ2倍の値段をつけているのだから、ニュースで大きく取り上げられたのも不思議ではない。日本は国内消費量の99%以上の石油を輸入に頼っており、その大多数を中東から輸入している。そして、世界の石油価格は日々変動しており、その影響を日本は常に受けているのだ。これまで、石油価格が大きく変動する要因は、産油国を巻き込んだ戦争や政情不安によるものなどが多かったが、今年起こったガソリン価格の高騰は投機マネーの影響が大きかったと言われている。もともと近年のガソリン価格はじわじわと上昇していたが、アメリカの不動産バブルがはじけ、サブプライムローン問題が表面化したことをきっかけとして、利益を求める多額の投機マネーが原油先物市場に流れ込み、異常なほどの価格高騰に繋がってしまった。現在(2008年12月初旬)の原油先物市場は落ち着きを見せはじめており、ガソリンスタンドでの店頭販売価格も下がってきている。
ガソリン高騰やその後の景気後退の影響で、自動車の販売が不振となり世界中のメーカーが販売台数を落としている中、バイク業界にはわずかながら光が射してきたかもしれない。2008年1月~6月の国内での原付2種の出荷台数が前年同期に比べ56%も伸び、2輪車全体の出荷台数が21%も下がる中で健闘を見せている(フジサンケイビジネスアイ2008年8月26日記事より)。原付1種や普通2輪の出荷台数が振るわない中で、原付2種が伸びているのは、原付1種のような速度制限がなく低燃費、2人乗りも可能という経済性と利便性のバランスの良さが理由とされている。通勤の足を自動車から原付2種に変更する人や、日常の買い物に原付2種を利用する主婦などが増えているというのだ。ガソリン価格の高騰をきっかけに、バイクに注目が集まるのは嬉しいことだが、現在のところはコミューターとしてのバイクに注目が集まっている状態。趣味としてのバイクに新たなユーザーが流入しているわけではないと言えそうだ。
こういう状況のさなか、2008年9月27日の毎日新聞に、ホンダがハイブリットバイクを開発中との記事が掲載された。車と違い、車体サイズなどが限られているバイクの場合、ガソリンと電気を動力源とするハイブリットエンジンの実現は技術的な問題が多いとされてきた。しかし、それをクリアする方法を見つけたというのだ。車との部品の共通化により、コスト面も見合うものになるとのことで、早ければ2011年にはハイブリットバイクが登場するかもしれない。これまでは、主に環境問題をテーマとしてガソリンエンジンのハイブリット化や電気自動車の実用化が叫ばれてきたが、今回のようなガソリン価格の高騰もその後押しをすることになりそうだ。自動車などと比較すれば、環境負荷は微々たるものと言えるバイクのガソリンエンジンだが、その変化は我々の予想よりもはるかに早く進行しているのかもしれない。