取材協力/
ジャパンドラッグ 写真・文/モリヤン 構成/VIRGIN HARLEY.com 編集部
掲載日/2016年8月31日
近年、性能の向上が著しいハーレーエンジンに対応する高性能オイルフィルターとして、人気が高いジャパンドラッグのファビラスハイパーオイルフィルター。赤いボディーにチェッカーフラッグを連想させる独特のデザインが特徴だが、その内容を細かく探ってみた。
ファビラスハイパーオイルフィルターの高性能の秘密を徹底追求
細部までこだわり抜いた
濾過性能と耐久性
ハーレーダビッドソンエンジンにオイルフィルターが純正で装着されたのはパンヘッドの時代である。最初は分解して清掃できる構造だったが、エンジンの性能アップと共に、オイルフィルター本体も性能向上して、ショベルの後期には使い捨てタイプのカートリッジスタイルへと変貌を遂げた。
「最初のカートリッジ式は小型でね。たぶんクルマ用の何かを流用したのだろうけど、性能は不十分だった。もちろんそれまでの分解清掃式よりはましだったけどね。だから改善策として当時は、アメ車用の大型のFRAMフィルターをハーレーに装着することを、ジャパンドラッグでは推奨してました」。ジャパンドラッグ代表の小川さんはこう語る。
分解清掃式の時代は、繊維質のフィルターが金属網のインナーを通過してエンジン内に侵入することは珍しくなく、エンジン不調の引き金にもなっていた。それがカートリッジになっても、やはり似たような事例は続く。さらにエボリューションやツインカム時代になっても、根本的な解決には至っていないというのである。
「エボ以前のモデルは、エンジンからオイルタンクに戻る間にフィルターがセットされていましたが、ツインカムは、エンジンにオイルを送るオイルポンプの手前にフィルターがある構造に変更されましたね。これはエンジン直前にフィルターを置いて、よりクリーンなオイルを循環させようという発想なのですが、そのフィルターの性能が、大きなファクターを占めるようになる。いくらエンジンのチューニングやパワーアップをしてオイルポンプを強化しても、フィルターの性能が従来のままでは、冷間時の高粘度ドロドロオイルはフィルター濾紙をすんなりと通過できません。結果的にエンジン内部が油圧ゼロの状態に陥ってしまうことも予想され、瞬間的とは言え、積み重ねるごとにエンジンに大きな負担がかかってしまいます。様々なエンジンの分解整備をしてきましたから、そこの重要性に気付いて、開発に着手したんです」
ジャパンドラッグ代表 小川 泰良
1980年代初頭からハーレーのカスタムショップを立ち上げ、いつの時代もリーダーとしての立場を守っているカスタムビルダー。ハイパフォーマンスなカスタムパーツを続々と手がけている。
従来のオイルフィルターを分解して、性能のネックになっている部分を徹底的に検証する。そして出された結論は、ケースは同じ 大きさで2倍のフィルター面積を持ち、内圧に強く、交換サイクルが2倍以上という目標性能だった。フィルターは、クルマ用のパーツに濾過性能が違う2段重ねのものを発見。しかしスペース内に空洞が多くフィルター面積が少ないことから、2種類の濾過紙を縦に繋ぐ方法を考案する。そして、その濾過紙の材質にもこだわった。
「表面の繊維が毛羽立っていては、その繊維が剥離してオイルの中に混ざりエンジン内部に回ってしまう。それではフィルターとしての意味がなくなってしまうから、毛羽立たちの少ない上質で均等な厚さの国産の濾材を使用しました。それでもわずかに残る繊維の毛羽立ちに対しては、特殊加工法で全て消滅させてからオイルフィルターの完成となります。また、フィルタ―本体のケースも無駄なレンチ用の造形を廃止し、圧力剛性の最も高い理想的な形状にしました。ケースの塗装も業界初、車体取り付け部分の内側まで塗ってあり、外観の向上とサビ対策をしています」
似て非なるもの。右が従来品で、左がファビラス。取り付け面の形状が違うのと、ゴム製のOリングがセットされる場所にも違いがある。Oリングも形状が違うのだ。
フィルター面積は従来品の2倍を確保し、その交換サイクルも2倍以上を実現! つまり結果的にエンジンにも財布に優しい性能を体感できる! 世界で唯一の「ハーレーダビッドソン専用の高性能オイルフィルターが誕生したのである。
取り付けネジのピッチが同じであるエボリューション以降のハーレーには適合。ショベル以前のモデルへの装着には、専用のアタッチメントプレートが必要になるが、もちろん装着可能になっている。
古いリジッドフレームのモデルや様々なカスタムでも、マウントプレートを装着すれば、ファビラスハイパーオイルフィルターは取り付けることが出来るようになる。
世界初の内部構造を持つファビラスハイパーオイルフィルター
純正とほぼ同じケースの大きさからは、想像もできない内部構造の変更で高性能化を果たしたファビラスハイパーオイルフィルター。人も、動脈硬化や高血圧などで大きな問題になるが、オイルも同じである。
01標準スタイルとロング缶があり、機種別に選ぶことができる。むろんロング缶の容積は大きいが、標準スタイルでも従来品からの性能向上は2倍以上だ。価格はどちらも3,800円(税別)。
02ロゴやグラフィックを印刷しないプレーンタイプもラインナップ。性能はまったく同等で、価格を抑えた廉価番。フィルターの装着箇所が目立たない場合や、プレーンな外観がお好みならこちら。価格は2,900円(税別)。
03製造直後に透明のカバーをセットして、異物の混入を排除するというきめ細かな配慮がされているが、これも他の製品には見当たらない特徴である。
04様々なカスタムモデルや旧車等に装着する場合のアタッチメントも販売されている。ストレート、もしくはL型のどちらかのオイルホースフィッティングが2個付属する。価格は9,800円(税別)。
05左のメッキされたフィルターは、ショベル時代にデビューした最初のカートリッジ式フィルター。小さな容量だったことが理解できる。
06右がファビラスに使用されている濾過紙で、左が従来型。ファビラス用は、密度の違う2種類の濾過紙を同時にケース内に納める。
07新旧濾過紙をクローズアップすると、従来型がいかに毛羽立っているのかよく分かるはずだ。
08濾過紙の織り方にも工夫がある。山のピッチを規則的に変更させているMW折りと呼ばれる方法で、オイルの流速アップに貢献する。
09クルマ用の2段フィルターから、高性能化のきっかけを掴んだ。しかしこの構造では濾過紙の面積が小さくなってしまうことが問題だった。
10ケース内で効率良く2種類のフィルターを装着するべく、考え出された方法は、左右均等に巻いて、ドッキングさせることだった。
11ファビラスは、塗装がケースの内側に入っているのが分かる。サビに強く、取付面の剛性も高い。
12Oリングの形状も違いがあり、分厚いゴムを使用する従来型(右)に比べて、細い面で確実にパッキンの役目を果たすように変更(左)。
13鮮やかな赤とそのデザインは、カスタムパーツとしての存在感が抜群である。取り付けには工具がまったく必要ない。
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関越道の川越インター脇にショップを構えるカスタムショップ、ジャパンドラッグ。分かりやすい位置にあるので、アクセスも良好だ。定番スタイルのカスタムから、エキセントリックなカスタムまでその守備範囲は非常に広い。老舗のカスタムショップは、常に新しいトライを続けている。
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